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院長コラム

乳がん術後にタモキシフェンを服用されている方は定期的な婦人科診察を

乳がんの種類によっては、女性ホルモンであるエストロゲンの受け皿を有しているものがあります。これをER(エストロゲンレセプター)陽性乳がんといい、エストロゲンがERと結合すると、乳がんが増殖してしまう可能性があります。
そのため、乳がん術後の再発を防止するため、内分泌療法としてタモキシフェンを使用することがあります。
ただし、タモキシフェンは婦人科疾患を引き起こす可能性があるため、その使用には注意が必要です。
今回、「産婦人科患者説明ガイド」(医学書院)を参考に、乳がん術後のタモキシフェン服用と婦人科疾患についてお伝え致します。

 

タモキシフェンの働き

タモキシフェンは乳がん組織にあるERに結合することで、自身が自然に分泌しているエストロゲンがERと結合することを妨害します。その結果、乳がん組織の増殖が抑制されます。
ただし、タモキシフェンの特徴として、乳腺組織への作用とは反対に、子宮内膜や卵巣にあるERと結合すると、それらの組織を増殖させてしまうことが知られています。

 

タモキシフェンによる婦人科疾患

タモキシフェンを服用すると、服用していない方と比べて、不正出血や子宮内膜ポリープの発生が増加することが知られています。
さらに、子宮体がんの発生リスクについては2.4倍も増加したとの報告があります。
また、卵巣に対しても、過剰な刺激により卵巣のう腫が発生することがあるため、婦人科診察を定期的に受けることが大切です。

 

当院での経過観察

タモキシフェン服用中で、不正出血(茶色帯下含む)がみられた場合は経腟超音波検査を行います。
その結果、子宮内膜の肥厚が認められた場合は子宮内膜組織診を行い、内膜肥厚がみられず、内膜組織の採取ができない場合は内膜細胞診を行います。
また、不正出血や子宮内膜肥厚がみられなかった場合でも、年に一回は子宮内膜細胞診、あるいは子宮内膜肥厚を確認するため経腟超音波検査を行っています。
世田谷区の住民票をお持ちの方であれば、2年に一回の区検診として、子宮頚部(800円)および子宮体部(1,000円)の細胞診を行っています。
尚、卵巣については、年に一回の子宮内膜検査の際、全例に経腟超音波検査を行い、卵巣のう胞の有無を確認致します。

 

以前は乳がん術後再発予防のためのタモキシフェン服用は、5年間であることが多かったようですが、最近では10年間使用することが一般的なようです。
ただし、服用開始から15年の追跡調査でも、子宮体がんの発症リスクが高いとの報告があります。
タモキシフェン服用が終了しても、その後5年以上は定期検診が望ましいと思われます。

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