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院長コラム

ホルモン補充療法に期待されている効果

ホルモン補充療法(HRT)は、エストロゲンの低下に伴う更年期障害、卵巣欠落症状、閉経後骨粗しょう症に対して広く行われていますが、その他多くの症状、疾患に対する治療・予防効果も知られています。
今回は、特にHRTに期待されている効果について、「ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版」などを参考にお伝えします。

 

血管運動神経症状の改善

のぼせ・発汗・冷え・動悸といった血管運動神経症状は、更年期障害や両側卵巣摘出後の卵巣欠落症状の代表的な症状です。
エストロゲンの低下が主な要因であるため、エストロゲンを補うHRTは非常に効果的な治療であり、禁忌でなければHRTが第一選択となります。
ただし、症状の改善が不十分な場合は、漢方薬や自律神経調整薬などを併用することがあります。

 

萎縮性膣炎の治療・性交痛の改善

エストロゲンの低下により外陰部や腟粘膜が萎縮し、かゆみ・灼熱感・乾燥感・性交痛などの症状を認めることがあります。
エストロゲンの低下が要因の一つであるため、HRTが有効なケースは少なくありません。
ただし、加齢も要因の一つであるため、HRTだけでは改善しない場合には、外陰・腟レーザー治療(モナリザタッチ)をお勧めします。

 

閉経後骨粗しょう症の治療・予防

通常、骨の代謝は骨形成(作られる)と骨吸収(壊される)のバランスが保たれています。
ところが、エストロゲンが低下すると、骨形成より、骨吸収の方が強くなるため、骨量が低下し、放置すると骨粗しょう症に至る可能性があります。
HRTは骨吸収を抑制することで、骨粗しょう症の予防・治療効果を発揮します。

 

更年期の精神症状の改善

更年期障害としてうつ、いらいら、不安、不眠などの精神症状を訴える方は多いですが、中にはエストロゲン低下との関連が低いケースもあります。それでも、HRTを行うことでうつ症状が改善することが知られています。
もし、HRTの効果が不良であれば、漢方薬や抗うつ薬を併用することがあります。

 

脂質代謝異常症の改善・動脈硬化の予防

エストロゲンの量や投与方法(経口、経皮)による違いはあるものの、HRTは悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を低下させ、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を上昇させることが知られています。
また、すでに動脈硬化性疾患になった方にはHRTは禁忌ですが、まだ動脈硬化をきたしてない閉経早期の方に施行すると、動脈硬化の予防も期待できます。

 

保険診療としてHRTが認められている疾患は更年期障害、卵巣欠落症状、閉経後骨粗しょう症ですが、それ以外にも多岐にわたる副効用があります。
ただし、万能薬ではないため、他の薬剤との併用が必要な場合もあります。
当院では、更年期女性や卵巣摘出後女性に対して、生活の質の向上や疾患予防のため、適切にHRTを行って参ります。

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