院長コラム

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンをまだ接種していない方へ

子宮の入り口、頚部に発生するがんを“子宮頚がん”といい、その95%以上は発がん性の高いヒトパピローマウイルス(ハイリスクHPV)の持続感染が原因と言われています。
ハイリスクHPVは14種類ほどのタイプがあり、性交によって感染します。
子宮頚がん予防にはHPVワクチン接種が有効であり、小学校6年生から高校1年生相当の女子は定期接種としで無料でHPVワクチンを接種できます。
また、令和7年3月までは“特別キャンペーン期間”として、1997年4月2日~2008年4月1日にお生まれ(キャッチアップ世代)の女性に限り、特別に10万円相当のワクチンが無料で接種できます。
今回は、特別キャンペーン対象者にもかかわらず、いまだに接種していない方へ向けて、なぜHPVワクチン接種が大切なのかについて説明致します。

20∼30歳代女性の最多のがんは「子宮頚がん」
子宮頚がんは年間10,000人以上が新たに感染し、3,000人近くが亡くなる怖い病気です。しかも、全がんの中で、20~30代女性で罹患数が最も多いのが子宮頚がんです。ちなみに、20代の罹患者数2位は甲状腺がん、3位は卵巣がん、30代ではそれぞれ乳がん、甲状腺がんです。
このように、20∼30歳代に多いということは、妊娠・分娩にも影響を及ぼすことになります。
もし、子宮頚がんが進行してしまうと、子宮全部を摘出することになり、術後は当然妊娠することができなくなります。
また、初期のがんであれば、子宮頚部の一部を切除するだけで済むので子宮は残りますが、それでも流産や早産のリスクが高まることが知られています。

性交経験者でもHPVワクチン接種は有効
性交経験前にHPV9価ワクチンを接種すれば、子宮頚がんになるリスクが約90%も低下しますが、性交経験後であってもワクチン接種は有用です。
キャッチアップ世代の方の中には、性交経験後であるためHPVワクチン接種に意味がない、と誤解されている方もいらっしゃるようですが、是非前向きにご検討下さい。
もちろん、20歳以上で性交経験があれば、早期発見・早期治療のために、定期的に子宮頚がん検診(細胞診)も受けるようにしましょう。

キャッチアップ世代は令和6年9月までに1回目の接種を
15歳以上の方では、計3回の接種が必要です。4価ワクチン(ガーダシル)・9価ワクチン(シルガード9)の標準的な接種間隔は、1回目から2回目が2か月、1回目から3回目が6か月とされています。
つまり、半年の内に3回接種する必要があります。キャッチアップ世代の方がキャンペーン中に3回接種するには、令和7年3月が3回目接種の締め切りですので、遅くとも令和6年9月までには1回目接種を終わらせなくてはなりません。

HPVワクチン接種はご本人の命を守るだけでなく、将来の流産・早産を防ぐことにも繋がります。
子宮頚がんは予防することができるがんです。
HPVワクチン接種(性交経験の有無を問わず)および子宮頚がん検診(20歳以上)を強くお勧めします。