院長コラム

HPVワクチン接種後の失神について

最近、子宮頚がん予防のHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンを接種される方が、思春期女性を中心に増えています。大変喜ばしいことですが、接種直後の副反応には注意が必要です。
今回、HPVワクチン接種後の失神に対する注意についてお伝えします。

 

ワクチン接種後の失神の理由

失神とは、一時的に意識が消失してしまう状態の事で、稀ではありますが注射や採血、婦人科検査(特に子宮内膜採取)などの後にみられることがあります。
これらの処置に伴う痛みや緊張などにより、自律神経の一つである迷走神経が反射的に興奮する場合があります。迷走神経は心臓や血管の働きを調節している神経であり、その興奮によって心拍数や血圧が下がり、めまい、ふらつき、一過性の失神をきたす場合があります。
これを、血管迷走神経反射といい、思春期女性、特に注射に対する恐怖心が強い方に多いといわれています。

 

失神による転倒を防ぐために

失神は一過性のもので、しばらく横になって安静にしているだけで回復します。したがって、失神自体は特に心配することはありませんが、めまいやふらつき、失神による転倒やけがを防止することが大切です。
そのため、以下の3つがポイントになります。

  • 接種後に待合室へ移動する際は、看護師あるいは保護者の方の付き添いが必要です。
  • 接種後30分は、待合室のソファーに腰かけて、立ち上がらずに安静にして頂きます。
  • お待ち頂いている間、気分が悪くなったり、めまいを感じたら、ソファーに横になり、スタッフにお声かけして下さい。車椅子で病室に移動し、しばらくベッドで横になってお休み頂きます。

 

当院では、受付スタッフが常に待合室に注意を払っています。
また、看護スタッフは、接種後の方の様子を伺い、必要に応じて声掛けをしております。
ただし、できましたら思春期の方の初回接種の際には、保護者の方にお帰りになるまでお付き添い頂くことをお勧めします。