院長コラム

骨板臓器脱に対する第4の選択枝「骨盤底サポーター」

子宮脱、子宮下垂、膀胱瘤などの骨盤臓器脱に対して、通常は「手術療法」、「ペッサリー」、「フェミクッション」の3つの方法で対応しております。
今回、最近開発され、商品化された第4の方法「骨盤底サポーター」について説明します。

 

 

「骨盤底サポーター」とは

骨盤臓器脱に対する新しい保存療法で、山梨大学医学部が企業と合同で研究開発された製品です。

子宮や膀胱を正常な位置に保持するため、骨盤および下腹部に巻くストラップをショーツ状に形成しており、ショーツの上から重ねて履くようになっています。

 

 

作用機序と効果

細い帯状の布の張力により、会陰部を持上げ、腟を閉じるようにします。山梨大学の研究では、骨盤臓器脱患者様に骨盤底サポーターを装着してもらったところ、膀胱の挙上が認められ、更に努責をかけても膀胱瘤が下垂しない、とのことです。

 

 

「ペッサリー」「フェミクッション」との違い

ペッサリーは保険が適応されていますが、基本的に医師が挿入し、3~6ヶ月毎の入れ換えが必要になります。また、ペッサリーの刺激により腟壁が傷ついて帯下や出血を認めることも少なくありません。

フェミクッションは、臓器脱に程度が比較的強い方に適していますが、異物感が気になる方も多いようです。

一方、骨盤底サポーターは、臓器脱の程度に関わりなく使用でき、違和感もほとんどないようです。また、慣れれば着脱も容易で、伸縮性があるため軽度の運動も問題ありません。

 

 

「骨盤底サポーター」の対象

当院では、以下の方へお勧めしたいと考えています。

・ ペッサリーの刺激による腟壁の肉芽やびらんが強い方。

・ 腟壁が硬くペッサリーが挿入しづらい方。

・ ペッサリーがすぐ脱出してしまう方。

・ 手術に抵抗がある方や術後再発した方。

・ 日常動作が多い方や適度な運動をしたい方。

・ 骨盤臓器脱による頻尿傾向が見られる方。

 

 

この度、当院でも「骨盤底サポーター」を導入しました。これからも患者様の年齢、活動度などを考え、より最適な治療法をご提案したいと考えています。