院長コラム

暑い季節の疲労には「補中益気湯」をお勧めします

まだ梅雨が明けていませんが、毎日蒸し暑い日が続いています。
皆さん、体調を崩していないでしょうか。
今回は、これからの季節にぴったりの漢方薬「補中益気湯」をご案内します。

 

 

「補中益気湯」の効能・効果(添付文書より)

消化機能が衰え、四肢倦怠著しい虚弱体質者の次の諸症:
夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、多汗症

 

 

典型的な「補中益気湯」のタイプ

・慢性疾患により全身状態が悪化したもの
・エネルギーが足りない。
臓器をあるべき位置に止めて置けないため、重だるい。
・目に力がない。食べ物の味がしない。

 

 

当院で処方する主なケース

当院で最も処方している方は、疲労している褥婦さんです。分娩でかなり体力を消耗し、その後の母乳哺育のため疲れが回復しない褥婦さんは少なくありません。
入院中はあまり疲労の自覚がない場合でも、退院後、疲労がどんどん溜まっていく事が多く、2週間健診や1ヶ月健診で処方するケースが一般的です。
特に、これからの暑い時期は食欲も低下し、夏ばて・夏やせの授乳婦さんも多く、補中益気湯を処方するケースが増えます。

また、更年期の疲労感や発汗に対して処方するケースもあります。通常、更年期障害に対しては、ホルモン補充療法や他の漢方薬を用いますが、疲労感や発汗が残るケースには補中益気湯を併用することがあります。

さらに、高齢者の子宮下垂にも処方します。通常ペッサリーで管理していますが、症状が軽い方の場合、補中益気湯のみで経過観察しているケースもあります。

免疫力を高める作用もあるため、外陰ヘルペスを繰り返す方には、抗ヘルペス薬に捕集益気湯を併用し、予防的な効果を期待することもあります。

 

 

服用方法

1日量7.5gを毎食前(1日3回)または朝・夕食前(1日2回)で服薬して頂きます。通常、2週間分処方し、胃痛など副作用がなければ4週間追加します。2ヶ月程度の服用であまり効果が見られないときには、他剤を併用するか、他剤に切り替えるようにします。
効果的であれば、数ヶ月は継続して服用して頂くようにします。

 

 

補中益気湯は抵抗力を高め、元気を補う漢方薬であり、「医王湯(いおうとう)」つまり「医薬の王様」とも呼ばれています。
今年の夏も暑くなりそうです。夏バテする前に、是非補中益気湯をご検討下さい。