院長コラム

首都圏での風疹の流行にご注意

2018年8月14日、厚生労働省は風疹の流行の兆しがみられるとして、全国の自治体へ予防接種の徹底などを呼びかける通知を出しました。
今年は首都圏を中心に急増しており、今年の現時点までの累計患者数が昨年一年間の患者数をすでに超えています。
今回は、風疹について説明します。

 

 

妊娠20週までの妊婦さんは要注意

妊娠初期の妊婦さんが風疹に感染すると(初感染でも再感染でも)、胎児にも感染する可能性があります。その結果、生まれてくる赤ちゃんに、難聴・心疾患・白内障などの疾患や精神や身体の発達の遅れなどの障害(先天性風疹症候群)が認められることがあります。

先天性風疹症候群を防ぐためには、風疹抗体がない妊婦さんはもちろん、抗体価が少ない(HI抗体が16倍以下)妊婦さんも、妊娠20週までは人が多い場所や首都圏への移動や旅行は避けたほうが無難です。

 

 

風疹の症状

約2~3週間の潜伏期間を経て、発疹・発熱・リンパ節腫張・関節痛などの症状が現れます。ただし、感染していても症状が現れない不顕性感染もまれではありません。

 

 

妊婦さんの周りで感染者が見つかったら?

もし、ご主人やお子さんなどご家族の方や、接触頻度が高い職場の方や友人など、周囲で風疹と診断された方がいらっしゃる場合は、直ちに感染者から離れてください。感染者がご主人やお子さんだからといって、くれぐれも長時間お世話することは避けて、他の方に代わって頂きましょう。

当院通院中の妊婦さんで、もし妊娠中に発疹が出たり、風疹患者さんと接触した場合には、まずはお電話をください。妊娠初期の風疹抗体価を確認した上で、必要に応じて当院または内科での精査をお願いすることがあります

 

 

ご主人は風疹抗体が充分にありますか?

最近の風疹患者さんは30~50歳代の男性が多いと報告されています。これは、1994年まで中学生の予防接種は女子に限られていたため、この世代には風疹抗体を持っていない男性が多いことが影響しているようです。

したがって、これから妊娠を考えている女性のご主人、風疹の抗体価が低いことが判明している妊婦さんのご主人は、是非血液検査で抗体を調べましょう。ちなみに、世田谷区では助成制度がありますので、世田谷区役所へお問い合わせ下さい。

 

 

2020年のオリンピックイヤーまでに風疹患者さんを0にすることがわが国の目標です。そのためには、抗体を持たない方や抗体価が低い方が皆さん予防接種を受ける必要があります。
妊娠の風疹抗体検査でHI抗体が16以下の方は分娩後に是非予防接種を受けて下さい。授乳中でも摂取可能です。当院ではMRワクチン(麻疹・風疹ワクチン)の接種を行っています。
また、世田谷区の方は補助がありますので、該当する方は世田谷区役所へお問い合わせ下さい。