院長コラム

都立青山高等学校での生涯健康授業(パート1)~月経トラブル~

月経困難症の治療と子宮内膜症の予防
月経痛は、子宮内膜から分泌される痛み物質(子宮を収縮させる作用あり)が原因の一つであるため、低用量ピル・黄体ホルモン製剤といったホルモン剤を使用することで子宮内膜を薄くすれば、痛み物質の産生が減少し、月経痛の軽減が期待できます。
また、思春期で月経痛が強いと、将来子宮内膜症という病気になりやすいことが知られています。子宮内膜組織を含む月経血が卵管を通って腹腔内に逆流することが、子宮内膜症の要因の一つと言われており、ホルモン剤を用いて月経の回数を減らせば、経血が腹腔内に逆流する機会の減少に繋がるため、子宮内膜症予防効果が期待できます。
以上のように、思春期から月経困難症の治療と子宮内膜症の予防にとり組むことが大切であり、そのためにも女性ホルモン剤の活用をお勧めします。

月経前症候群(PMS)への対応
月経開始3~10日前からみられる様々な精神的・身体的症状を月経前症候群(PMS)といい、イライラ感、抑うつ、乳房痛、便秘などにより生活の質を下げる事があります。
また、むくみ、ビタミン・ミネラル不足、心身のストレスによりPMSが悪化することが知られており、PMSの改善のためにはバランスのとれた食生活・適度な運動・良質な睡眠といった生活習慣を見直しましょう。
それでもPMSの改善がみられない時には婦人科を受診し、向精神薬、漢方薬、低用量ピルなどの薬物療法をご検討下さい。

続発性無月経と骨のトラブル
3か月以上月経が来ない状態を続発性無月経と言いますが、強いやせ願望による無理なダイエットを行う事で、体重が減少し無月経になってしまうことがあります。これを体重減少性無月経といい、特に注意が必要です。
というのも、将来不妊症になる可能性があるばかりでなく、低体重(骨に負荷がかからない)・エストロゲン低下(骨が溶けていく)・カルシウム、ビタミンDなどの栄養素摂取不足(骨が作られない)により、骨粗しょう症になってしまい、将来の骨折・寝たきりのリスクが高まってしまうからです。
骨量は、20歳頃にピークを迎え、その後は横ばいまたは徐々に減少します。女性の場合は、更年期でエストロゲン分泌が急激に低下すると、骨量も急激に低下し、骨粗しょう症のリスクが高まります。
したがって、20歳までに骨量をできるだけ高めるためには、無理なダイエットは避け、バランスのとれた食事、適切な運動や日光浴、良質な睡眠に心がけましょう。そのことが、無月経の改善にも繋がります。