院長コラム

細粒剤の漢方薬が苦手な方へ ~錠剤のある漢方薬~

産婦人科領域では漢方薬を用いることが多いのですが、細粒剤タイプが苦手な方は少なくありません。実は「クラシエ薬品株式会社」の製品には、細粒剤だけでなく錠剤の漢方薬が20種類以上あります。
今回は、当院で処方することが多い漢方薬の中で、錠剤タイプがあるものを紹介します。

 

  • 葛根湯(カッコントウ)

細粒剤:7.5g/日  錠剤:18錠/日

風邪のひき始めに用いる際は3日間程度の服用ですが、乳腺炎に対しては1週間以上処方することがあります。
また、肩こり、頭痛に対しては数週間にわたり使用することがあるため、長期間の細粒剤服薬が困難な場合は、錠剤に変更します。

 

  • 半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)

細粒剤:6.0g/日  錠剤:18錠/日

半夏瀉心湯は、胸焼け・げっぷ・嘔吐下痢症などに処方することが多い漢方薬です。細粒剤でかえって胸焼けしてしまう方には、錠剤を処方します。

 

  • 半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)

細粒剤:6.0g/日  錠剤:12錠/日

半夏厚朴湯は、妊娠悪阻・不安神経症・のどや食道部の異物感がある方などに処方しています。錠剤もありますが、のどのつかえ感が強い場合は、細粒剤の方が飲みやすいかも知れません。

 

  • 五苓散(ゴレイサン)

細粒剤:6.0g/日  錠剤:18錠/日

浮腫・めまい・悪心嘔吐・下痢などに対し、水分バランスを調節する目的で五苓散を処方することがあります。
また、低気圧に伴う頭痛などにも効果があるといわれており、すぐに服用できるよう、ご本人が飲みやすい剤形を処方します。

 

  • 小青竜湯(ショウセイリュウトウ)

細粒剤:6.0g/日  錠剤:18錠/日

花粉症や感冒による鼻炎に処方することが多い小青竜湯ですが、比較的即効性があり、長期に服用することも可能な漢方薬です。
花粉症に悩まされるこれからの季節、飲みやすい剤形で常に携帯されてもいいでしょう。

 

  • 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

細粒剤:6.0g/日  錠剤:18錠/日

月経困難症や更年期障害に用いることが多い“婦人科漢方3剤”のうち、当帰芍薬散・加味逍遙散は細粒剤しかありませんが、桂枝茯苓丸には錠剤があります。
体力が極端に弱くなければ、細粒剤が苦手な方は、月経困難症や更年期障害に対して桂枝茯苓丸の錠剤から試してみてもいいかもしれません。

 

  • 加味帰脾湯(カミキヒトウ)

細粒剤:7.5g/日  錠剤:27錠/日

加味帰脾湯は、虚弱体質の方の不安神経症・不眠症・疲労感が強い場合に用いる漢方薬です。錠剤をご希望の方には処方できますが、他の薬剤とは異なり、1日27錠、3回に分けたとして1回9錠になる旨、ご承知おき下さい。

 

漢方薬は独特な味や匂いがするため、細粒剤が飲めない方も多くいらっしゃいます。
限られてはいるものの、上記以外にも錠剤のある漢方薬があります。
細粒剤が苦手で錠剤をご希望の方は、ご遠慮せずにご相談下さい。