院長コラム

玉川法人会女性部会主催「女性健康セミナー」でお話しました

先日、高市政権初となる「女性版骨太の方針2026」が発表され、ライフステージごとの女性に対する健康サポートの必要性が挙げられました。
そのような中、玉川法人会女性部会の会員様にむけて、「シニア世代の女性がより輝くために〜産婦人科医の立場から〜」と題してお話をさせて頂く機会がありました。
今回は、女性健康セミナーでお話致しました3つのテーマについて、概略をお伝え致します。

テーマ① エストロゲン低下と“デリケートゾーンのトラブル”
シニア世代の外陰・膣のトラブルで多いのが閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)です。
エストロゲンの低下や皮膚・粘膜細胞の老化に加えて、不衛生になりやすい場所であることから、外陰部かゆみ・痛み・乾燥感・性交痛・排尿障害などの不快症状をきたす方は少なくありません。
日頃から愛護的な外陰部の洗浄や保湿剤によるケアの重要性、エストロゲン製剤の膣内または全身投与・レーザー治療(モナリザタッチ)といった治療について説明致しました。

テーマ② 生活の質を下げる“排尿トラブル”
排尿トラブルの代表的な疾患に、骨盤底筋のゆるみが原因の「腹圧性尿失禁」と膀胱の過剰な収縮が原因の「過活動膀胱」があります。
これらが合併することもあり、予防・症状悪化防止のために、日頃から骨盤底筋を鍛える体操を行って頂く事をお勧めしました。
それでも症状が改善しない時には、薬物療法が有効な場合があるため、
泌尿器科または産婦人科をご受診頂くよう、お伝えしました。

テーマ③ 寝たきりに繋がる“骨と血管のトラブル” 
閉経後、エストロゲンが低下すると、骨密度の低下による「骨粗しょう症」、悪玉コレステロールの増加などの「脂質異常症」のリスクが高まります。
骨粗しょう症になると骨折しやすくなり、脂質異常症になると動脈硬化症から脳・心臓の血管障害になりやすくなり、どちらも将来寝たきりになってしまう可能性があります。
これらの予防・増悪防止のために、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKを多く含む食品やコレステロールを下げる食品を積極的に摂取し、適切な有酸素運動や筋力トレーニング、適度な日光浴などに加え、整形外科・内科での指導・治療が重要である旨、お伝えしました。

日本人女性の平均寿命は87.3歳、平均閉経年齢は50.5歳であり、約37年間もエストロゲンが欠乏している状況が続きます。
その結果、閉経後女性は様々な心身のトラブルのリスクが高まるため、それらの予防・治療が非常に重要です。
シニア世代の女性がいつまでも輝くためには、食事・運動・睡眠・日光浴といった日常生活の改善と、内科・整形外科・泌尿器科そして産婦人科の“かかりつけ医”を持つことがとても大切です。