院長コラム
比較的血栓症リスクが少ない低用量ピル
月経困難症の治療に低用量ピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬:LEP)が有用である、と聞いたことがある方も多いかと思います。
ただし、LEPにはいくつか種類があるため、どの薬剤が自分に合っているか、悩まれる方も少なくありません。
今回は、比較的新しいLEP「アリッサ配合錠」の特徴について、情報共有したいと思います。
“天然型”エストロゲンを配合
LEPには、卵胞ホルモンであるエストロゲン(E)と黄体ホルモンであるプロゲスチン(P)の二種類の女性ホルモンの成分が混ざっています。
一般的に、エストロゲンには血液を固める作用があるため、LEPの重篤な副作用として血栓症(血管内に血液の塊ができて詰まる病気)が挙げられます。
ほとんどのLEPに含まれているEは化学合成型エストロゲン(EE)であり、アリッサ配合錠に含まれているEは天然型エストロゲン(E4)です。そして、E4はEEに比べて血液を固める作用が弱いと言われています。
つまり、アリッサ配合錠は他のLEPに比べて、血栓症リスクが低いと考えられています。
ちなみに、E4は胎児の肝臓で作られるEであり、妊婦さんの血中にも存在しています。
“自然に近い”プロゲスチンを配合
LEPに含まれているPはおよそ4種類あり、それぞれ特徴があります。中でも「第4世代」と呼ばれるPは最も新しく、より自然に近いと言われており、アリッサ配合錠には第4世代Pが配合されています。
第4世代Pの特徴として、男性ホルモン様作用を抑える作用や利尿作用があります。
そのため、男性ホルモン様作用が影響するニキビやイライラ感に悩む方、むくみやすい方などには、第4世代Pを含むLEPがお勧めです。
月に1回、見かけ上の“月経”
アリッサ配合錠の服用方法は、月経が始まってから服用を開始し、24日間実薬(薬物の成分を含んでいる錠剤)を服用した後、4日間偽薬(薬剤の成分を含んでない錠剤)を服用することで、月に一回わざと出血(消退出血)を起こさせます。
ただし、この消退出血の量は一般的に少なく、ほとんど下腹部もありません。
医学的には月一回消退出血を起こさせる必要はありませんが、月一回月経様の出血があった方が安心だと思う方には適しています。
当院では、「月一回月経様出血を起こさせるLEP」としては、アリッサ配合錠を第一選択として処方しております。
特に、14歳までの思春期女子や、40歳(特に45歳)以降の血栓症リスクが上昇してくる世代の女性に、お勧めしています。
ただし、LEPの副作用の現れ方は人それぞれであるため、当院では様々なLEPを試しながら、服用される方の生活の質を向上させる薬剤をご一緒に探しております。