院長コラム

機能性月経困難症はなぜ発症するの?

月経中にみられる様々な身体症状、精神症状を月経困難症といい、仕事や学業、家事・育児や趣味など、日々の生活に悪影響を及ぼします。
症状の原因となる明らかな病気がない月経困難症を機能性月経困難症といい、10∼20歳代に多く、月経初日や2日目など経血量が多い時期に症状が強くなる傾向があります。
今回は、機能性月経困難所のメカニズムについてまとめてみました。

プロスタグランジン(痛み物質P)の過剰分泌
月経血は、剥がれ落ちた子宮内膜組織と血液から成っています。これらを外へ排出するためには子宮を収縮させる必要があり、その時活躍する物質が、筋肉を収縮させる作用をもつプロスタグランジンです。
プロスタグランジンは子宮を収縮させるためには欠かせない物質ですが、様々な組織を刺激することで痛みの原因にもなることから、“痛み物質”ともいわれます。
この“痛み物質P”は子宮内膜で産生されるため、子宮内膜が厚く、月経血が多いと“P”も過剰に分泌されます。
その結果、子宮が収縮し過ぎて下腹部痛・腰痛の原因になったり、Pが血流に乗って全身に運ばれることで頭痛や下痢などをきたすなど、様々な症状がみられる様になります。

子宮頚管の狭さ
子宮頸管とは、子宮体部と膣をつなぐ頚部の中にあるトンネルで、経血の通り道となります。
思春期女性を含む若年女性は、比較的このトンネルが細いため、スムースに経血を排出することができません。経血を排出するためには、子宮の収縮を強くする必要があり、その結果月経痛も強くなります。
また、頸管のトンネルが細いと経血の渋滞が起きるため、経血は卵管という腹腔内に繋がる二本の別のトンネルを通って腹腔内に逆流し、ばらまかれます。その結果、経血内ある痛み物質Pが腹膜を刺激し、下腹部痛をきたす場合もあります。
ちなみに、逆流した子宮内膜組織のほとんどは吸収してなくなりますが、一部は卵巣表面や腹膜に付着・増殖します。これが、子宮内膜症という病気の原因の一つとも言われています。

その他、運動不足や冷房による体の冷えなど、骨盤内の血行不良も機能性月経困難症の要因ともいわれています。
そのため、適切な運動を習慣化することや、夏でも入浴を行うなど、生活習慣を見直すことも大切です。
さらに、月経開始前から鎮痛剤を服用しているのにも関わらず月経痛が軽快しない場合は、是非婦人科クリニックをお訪ね下さい。