院長コラム

月経関連のトラブルを我慢せずに、生活の質をアップしよう

月経時の様々な身体的・精神的症状を月経困難症といい、月経開始3~10日前から月経3日目頃までにみられる様々な症状を月経前症候群(PMS)といいます。
これらを月経随伴症状といい、学業・仕事・家事・育児といった生活の質を下げる事が知られていますが、誰にも相談せずに我慢している方も少なくありません。
今回は、学業や仕事のパフォーマンスを上げ、家族を幸せにし、社会全体を活性化するため、月経随伴症状の治療法について情報共有します。

月経困難症治療薬の低用量ピルでPMS改善も期待
月経困難症の下腹部痛・腰痛は、子宮内膜で産生される痛み物質が関係しており、子宮内膜を薄くし痛み物質を減少させる事が、月経困難症の軽快に繋がります。
また、PMSの要因の一つとして、排卵した後の黄体という組織から分泌される黄体モルモンの関与が言われています。
低用量ピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬:LEP)は、一日一回の服薬で排卵を抑制し、子宮内膜を薄くさせる作用があり、保険適応がある月経困難症の治療だけでなく、PMSの改善も期待できます。
ちなみに先日、最長120日まで連続に服用することができる「ヤーズフレックス配合錠」が、ジェネリックである「ドロエチフレックス配合錠」に切り替えられることになり、お手頃の値段になりました。

血栓症リスクが高い方には黄体ホルモン製剤
前兆のある片頭痛をお持ちの方は、エストロゲン成分を含むLEPが禁忌であるため、エストロゲン成分を含まない黄体ホルモン製剤(ジエノゲスト錠0.5㎎)が第一選択になります。
黄体ホルモン製剤の主な作用は子宮内膜組織の増殖を抑える事であり、月経困難症は保険適応ですが、一日二回の服用が必要です。
尚、LEPに比べて排卵抑制効果が弱いと言われており、より確実な避妊を考えるのであればコンドームの装着が望ましいです。

漢方薬や抗うつ薬も有用
LEPや黄体ホルモン製剤の使用でも月経困難症やPMSがあまり改善しなかった場合は、漢方薬や抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:SSRI)を併用することがあります。
当院では、月経困難症に対しては当帰芍薬散・加味逍遙散・桂枝茯苓丸など、PMS(特に精神症状)には抑肝散・抑肝散加陳皮半夏・半夏厚朴湯などを処方しています。
抑うつを中心とした精神症状には、SSRI(レクサプロ錠など)を使用することがありますが、PMS治療が目的の場合は2週間ごとの周期的服用が主体になります。

月経困難症やPMSを我慢して、人生の質を下げてしまうのは非常にもったいない事です。
皆さんの生活の質の向上が、ご家族や周りの方の幸せに繋がり、ひいては社会全体を豊かにします。
月経随伴症状でお悩みの方は、是非早めに婦人科を受診してみて下さい。