院長コラム
月経困難症治療薬「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)」にも“避妊効果”があります
月経困難症の原因の一つに、子宮内膜組織から分泌される“痛み物質”の存在が挙げられます。
ということは、子宮内膜組織の増殖を抑えて、子宮内膜を薄くする事ができれば、そこから分泌される痛み物質の産生も抑える事ができるため、月経痛の緩和が期待できます。
この作用を利用した薬剤の一つに、女性ホルモン製剤である「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)」があります。
LEPには「子宮内膜を薄くさせる作用」のほか、「排卵させない作用」「子宮の入り口(頸管)から分泌される粘液をベタッとさせる作用」があります。
ちなみに、妊娠するには「排卵する」「精子が子宮頸管を潜り抜けて子宮内から卵管にたどり着く」「厚くなった子宮内膜に受精卵がくっつく(着床する)」というステップが必要です。
逆に言えば、「排卵させない」「子宮頸管粘液をベタッとさせる事で、精子が子宮内に進入するのを防ぐ」「子宮内膜を薄くさせる事で、受精卵が着床するのを防ぐ」ようにすれば、妊娠を避ける事ができます。
LEPはこれら3つの作用を持っているため、月経困難症の改善効果だけでなく、結果的に避妊効果も期待できます。
ただし、LEPはあくまでも月経困難症“治療薬”であるため、月経困難症がない方が、避妊目的“だけ”で保険診療として服用することはできません。
もし、月経困難症がなく、避妊目的だけで女性ホルモン製剤の服用を希望されるのであれば、「経口避妊薬(OC)」を自費で服用して頂きます。
実は、OCはLEPと同じ成分の薬剤です。つまり、排卵させず、受精卵の子宮内膜への着床を防ぎ、精子の子宮内への侵入を防ぐことで、OCも避妊効果を発揮しています。
ちなみに、わが国ではOCとLEPを合わせて「低用量ピル」「OC・LEP」と表現することがありますが、海外では二つの区別はありません。
言い換えれば、保険適応の低用量ピルがLEP、自費診療の低用量ピルがOCとなります。
以上のことから、「OC服用中の方が、月経困難症治療目的でLEPを併用する」、反対に「LEPを服用中の方が、避妊目的でOCを併用する」といったことがないよう、くれぐれもお気を付け下さい。