院長コラム

新型コロナウイルス感染症の感染拡大と睡眠障害

東京都だけでなく、全国で第2波と思われるような感染拡大が続いています。感染リスクを少しでも下げるためには、手洗いの徹底、手指消毒、3密の回避、マスクの着用など様々な予防策が必要です。さらに、これらに加えて、免疫力を維持・強化することも大切です。その免疫機能と睡眠との間には、密接な関係があることが知られています。
今回は「よぼう医学2020年夏号」から、久留米大学医学部精神神経医学講座の先生がお書きになられた記事「新型コロナウイルスと睡眠」について、一部情報を共有したいと思います。

 

免疫機能と睡眠の関係

睡眠にはレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)の二種類があり、ノンレム睡眠の際、生体防御や免疫形成が強化されるそうです。ストレスやウイルス感染にさらされると、自分の身を守るためにノンレム睡眠が強化され、免疫力が向上しますが、さらにストレスや感染が悪化すると、防御システムが破綻して不眠となってしまうようです。すると免疫力が低下し、悪循環に陥ります。

 

睡眠を改善させる3つの対策

記事では睡眠を改善させる3つの対策が紹介されています。

(1)生活リズムを整える

不規則な生活リズムは睡眠を悪化させます。生活リズムを整えるには、朝の起床時間を一定にし、起床後は窓を開けて朝陽を浴び、朝食を摂ることが大切です。また、在宅勤務の場合は、同僚や上司との約束や交流を利用して、スケジュールを組み立てることも有効のようです。

 

(2)心理的ストレスを軽減させる

心理的ストレスも睡眠を悪化させるため、いかに心理的ストレスを軽減させるかが非常に重要です。この記事では、具体的な3つの方法を推奨しています。

 

  • 否定バイアスを意識する

人は、“よい情報”より“悪い情報”に約5倍同調しやすいといわれています。これを「否定バイアス」といい、ニュースでネガティブな情報を見続けてしまうと、無意識にストレスを溜めてしまうそうです。受動的にテレビやネットを見続けるのはやめて、意識的に視聴時間を区切るようにしましょう。

 

  • 親しい人との交流

外出自粛は孤立感を強め、心配事を一人で抱えてしまう傾向を高めます。オンラインで友人や離れて暮らす家族などと会話する機会を設けることで、不安の共有、心配事の解決、安心感に繋がり、慢性的ストレスが軽減するそうです。

 

  • ヨガやマインドフルネスのすすめ

不安を解消し、ストレスを軽減させるため、ヨガやマインドフルネスを生活に取り入れることもお勧めです。

 

(3)酒やタバコ、コーヒーなどの制限

アルコール・カフェイン・ニコチンなどの摂取量が増えると、不眠だけでなく、抑うつ、不安、動悸、いらいらの原因となります。そのためには、喫煙者の場合は禁煙すべきであり、お酒やコーヒーが好きな方は、過剰摂取しないように1日の上限を決めることが勧められています。
個人的には、「オンライン飲み会」は酒量が増える印象がありますので、時間制限などのルール作りが有用かもしれません。

 

 

今回紹介した対策は、新型コロナウイルス感染予防の観点からだけではなく、日頃の心身の健康維持・向上の点でも非常に大切です。
是非この機会に、日々の生活習慣として取り入れるようにしましょう。