院長コラム

思春期から性成熟期までの希発月経の対応

月経は約一か月の間隔で起こる周期的な出血で、25~38日の周期が正常とされています。
ところが、何らかの原因により月経周期が39日から3か月にまで延長し、月経の頻度が少なくなってしまう事があります。これを「希発月経」といい、ご年齢や妊娠希望の有無により対応が異なります。
今回は、「女性医学ガイドブック 思春期・性成熟期編 2016年度版」などを参考に、思春期、性成熟期それぞれの希発月経の対応について説明します。

 

初経開始2年頃まで

多くの場合、10~14歳(平均12歳)頃に初経がみられ、しばらくの間は月経不順となります。
特に初経から2年以内は卵巣機能が未熟であるため、排卵せずに希発月経となることも少なくありません。
ただし、この時期の希発月経は特に治療の必要はなく、経過観察のみで正常周期に移行することがほとんどです。

 

初経開始後2年~性成熟期(妊娠希望なし)

この時期の希発月経の方には、女性ホルモン、男性ホルモン、甲状腺ホルモン、プロラクチン(母乳に関するホルモンで排卵を抑える)の血液検査、超音波検査(経腟または経腹)による卵巣検査などを行います。
その結果、甲状腺機能異常が見られた場合は内分泌専門医に、血中プロラクチン値がかなり高い場合は、脳神経科医に紹介する場合があります。
また、基礎体温を数か月記録して頂き、排卵しているか、無排卵であるかを確認します。
月経の正常化を希望される場合は、女性ホルモン製剤(デュファストン錠)や漢方薬を用いた治療を行います。
尚、極端なダイエットや激しいスポーツをされている方の場合、卵巣機能が低下し希発月経になる事があります。身長と体重から算出した指標(BMI)が“やせ”の場合には、極端な食生活・運動量を見直し、標準体重を目指して頂きます。

 

性成熟期(妊娠希望あり)

軽度な希発月経で排卵が認められる場合には、超音波検査や尿検査にて排卵時期を推定し、性交のタイミングを指導する場合があります。
一方、基礎体温表で排卵が認められない場合や、排卵していても月経周期が2~3か月の場合は、排卵誘発剤を使用した上で、タイミング指導を行うこともあります。

 

17歳以降の希発月経の場合、続発性無月経(3か月以上月経がこない状態)に移行してしまうことがあります。
そのため、状況によっては、希発月経初期段階での治療が勧められています。
特に排卵の有無が治療方針に関わってきますので、まずは2~3か月基礎体温をつけた上で、婦人科を受診するようにしましょう。