院長コラム

平成31年 年頭にあたり

明けましておめでとうございます。
皆様、新年はどのように迎えられたでしょうか?
平成31年の年頭にあたり、今年の当院の抱負についてお伝え致します。

 

 

思春期から性成熟期女性の方へ
「婦人科疾患の予防・検診・早期治療」

思春期の女性およびお母様方に対しまして、子宮頚がんの一次予防のためにはHPVワクチン接種が有用であることを引き続き訴えて参ります。そして20歳以上で性交経験のある方には、子宮頚がんの二次予防として子宮頚部細胞診を1~2年に一回は受けて頂くよう啓発も続けて参ります。

妊娠を望まないカップルには、「避妊には経口避妊薬(OC),性感染症予防には(100%防げませんが、せめて)コンドーム使用がセックスの必須条件」であることを伝えて参ります。もし避妊に失敗した場合はセーフティーネットとして、性交後72時間以内にノルレボ1錠を服用する緊急避妊法がある、ということも広めて参ります。

月経困難症・過多月経などの原因として、子宮内膜症や子宮筋腫が隠れている可能性があります。放置していると、子宮内膜症が増悪し、子宮筋腫が増大し、不妊の原因になってしまうこともあります。月経困難症・過多月経などの症状がありましたら、早めに受診して頂ければと思います。必要に応じて低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP製剤)などを用いた治療を行います。

 

 

妊娠期から産褥期の方へ
「より安全な周産期管理を目指して」

当院での分娩管理はリスクの少ない妊婦さんを対象にしています。以前より、合併症妊娠や高齢初産などのハイリスク妊婦さんは、高次施設での分娩をお勧めしますが、妊娠初期はローリスクであった妊婦さんが、妊娠経過ともにリスクが出現することも少なくありません。
リスクの増大を防ぐ事は容易ではありませんが、できる限り母児にとって安全なお産になるよう、葉酸またはマルチビタミンのサプリメントを分娩まで連日摂取して頂くことや、初産の方は、原則としてマタニティヨガに1回以上参加して頂くことなど、お伝えして参ります。

また、妊娠中にメンタルが不安定であると、分娩後に抑うつ傾向をきたすことがあります。当院では妊娠中から質問票などを用いて心の状態や家庭環境などを確認し、分娩後も2週間健診、一か月健診、必要に応じて「母乳外来」や「すくすく外来」などでフォローアップして参ります。
状況によっては、行政との連携やメンタルクリニック受診が必要であることをご理解頂ける様説明して参ります。

 

 

中高年女性の方へ
「健康維持・増進のために」

女性ホルモン(エストロゲン)の低下により様々なトラブルが出現します。更年期障害がひどくなると日常生活に支障をきたし、骨が溶けていくのを放置すると骨粗鬆症となって、将来骨折、寝たきりとなる恐れがあります。その他、脂質異常症、動脈硬化、認知機能障害など、様々な疾患・病態を引き起こします。

そのため、適切な時期にホルモン補充療法(HRT)を開始することは非常に重要ですが、まだまだHRTを行っている方は多くはありません。今後はその必要性・安全性についてご理解頂ける様、わかりやすい説明を心がけて参ります。

さらに、HRT以外にも、漢方薬、自律神経調整薬、プラセンタ注射、エクオール、ラクトフェリンなど、様々な治療法があることも説明し、最適な方法をご提案して参ります。

 

 

今年当院では、診察、検査、治療はもちろんのこと、予防・早期発見・早期治療のための啓発活動にも積極的に取り組んで参る所存です。
私たちスタッフ一同、皆様方の健康を守るため尽力して参ります。
本年も、何卒宜しくお願い申し上げます。