院長コラム
妊婦さんに対するRSウイルスワクチンの無料接種がスタート!
令和8年4月1日からRSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ筋注用)が、妊娠28週から妊娠36週(できれば妊娠35週まで)の妊婦さんに対して定期接種、つまり無料で接種することが可能になりました。
RSウイルス自体は、いわゆる風邪ウイルスのような一般的なウイルスですが、生後数か月以内の赤ちゃんが感染してしまうと気管支炎や肺炎で入院するリスクが高いため、その予防が大変重要です。
そこで今回は、妊娠中のお母さんにワクチンを接種することで、生まれた赤ちゃんを約6か月間守ってくれる「RSウイルス母子免疫ワクチン」について情報共有致します。
赤ちゃんがRSウイルスに感染すると家族みんなが大変
国内での2歳未満の年間RSウイルス感染症の発生数は12万~18万人で、その内約3割が呼吸困難で入院、更にその内7%に人工換気が必要であったとの報告があります。特に、その約半数が生後6か月未満であり、小さな赤ちゃんがとても辛い思いをすることになります。
もちろん、赤ちゃんがRSウイルスに感染し、気管支炎や肺炎で入院管理が長引けば、ご家族、特にお母さんの肉体的・精神的ストレスは甚大なものになります。しかも、お仕事しているお母さんの場合、産休・育休があけて一旦職場復帰しても、すぐに仕事を休まざるを得ない状況になるなど、仕事や職場に影響を与えることも少なくないそうです。
また、ご主人、上のお子さんなど、家族皆さんがストレスでゆとりがなくなり、夫婦ゲンカが増え、家族間にヒビが入る事も、“あるある”のようです(もちろん、その後家族が一致団結して苦難を乗り越え、家族の結束が強くなると思いますが)。
母子免疫でお腹の赤ちゃんに抗体を“プレゼント”
妊娠中のお母さんにRSウイルスワクチンを1回接種すると、RSワクチンに対する抗体が作られて、約2週間で効果を発揮するようになります。この抗体は、胎盤・臍帯を通って胎児の血液中に送られることになります。
つまり、お母さんがRSウイルスワクチンを接種した日から2週間以降に生まれた赤ちゃんは、お母さんからプレゼントされた抗体という“RSウイルスをやっつける武器”を生まれながらにして手にしているといえます。
ちなみに、抗体の効果に関しては、重症の肺炎などの発症リスクを生後6か月までは約70%、生後3か月までであれば80%以上も減少させることが知られています。
RSウイルスワクチンの安全性は高い
ワクチン接種後のお母さんの副反応としては、筋肉注射のため注射部位の痛み・腫れ、倦怠感、筋肉痛などがありますが、多くは自然に軽快します。
また、接種により妊娠高血圧症候群がわずかに増えるといった報告もありますが、その因果関係は不明であり、しっかりと妊婦健診を受けて頂ければ、妊娠高血圧症候群の早期発見と適切な管理が可能です。そのため、可能であれば妊婦健診をされている産婦人科で、RSウイルスワクチンを接種されることをお勧めします。
尚、早産リスクや赤ちゃんの健康状態に対する悪影響は報告されておらず、全体としてRSウイルスワクチン接種の安全性は高い、とお考え頂ければと思います。
当院では妊娠26週の妊婦健診の際に、RSウイルスワクチン接種の有用性について説明し、冊子をお渡ししています。
ご希望の方には予約制で、妊娠28週から(当院での最後の妊婦健診となる)32週頃を目安に接種しています(場合により妊娠36週まで)。
これまで33,000円かかっていたRSウイルスワクチンが無料で接種できる時代になりましたので、是非前向きにご検討下さい。