院長コラム

妊婦さんこそ、インフルエンザワクチン接種を

現在、全国的にインフルエンザが流行しています。1/25には都内に「流行警報」が発令され、2/2には全国で過去最高の患者数を更新したとの発表がありました。
皆さんは今シーズン、インフルエンザワクチンを接種されたでしょうか。今回は、妊婦さんのインフルエンザワクチン接種について、お話致します。

 

妊婦さんはインフルエンザのハイリスク

妊婦さんの中には、胎児への影響を心配し、インフルエンザワクチンを接種しない方もいらっしゃいます。しかし、当院では、どの週数の妊婦さんであっても、原則としてインフルエンザワクチンの接種をお勧めしております。

なぜなら、妊婦さんがインフルエンザにかかると重症化しやすいからです。海外では、妊婦さんの死亡例も報告されています。
確かに、インフルエンザワクチンの接種だけでは、インフルエンザ感染を100%予防することはできませんが、少なくとも重症化を防ぐことはできます。

ではなぜ、妊婦さんはインフルエンザに感染すると重症化しやすいのでしょうか?
妊娠週数の経過に伴い、子宮は増大し、横隔膜を上方に圧迫するようになります。その結果、肺の容積が減少し、呼吸機能が低下します。
更に、妊娠中は免疫能も低下するため、妊婦さんがインフルエンザウイルスに感染すると、肺炎などの合併症を併発し易くなるのです。

 

予防は手洗い・うがい・マスク着用、そしてワクチン接種

したがって、その予防が大変重要になります。感染予防としては、人ごみを避け、マスクをして、手洗い・うがいを励行するなどがありますが、完全に予防することは困難です。
現在最も有効な手段は、インフルエンザワクチンの接種といっていいでしょう。母体や胎児に対するワクチンの悪影響はないと考えてよく、妊娠初期から妊娠末期までの、どの時期であっても接種が可能です。
もちろん妊娠前の方も、排卵時期や性交時期を全く気にすることなく、インフルエンザワクチンを接種することができます。

 

インフルエンザワクチンは胎児への悪影響なし

インフルエンザワクチンは防腐剤としての水銀(チメロサール)が入っているタイプと、入っていないタイプの二種類があり、どちらでも問題ありません。当院では、妊婦さん(妊娠8-9週以降)に限りインフルエンザワクチン接種を行っておりますが、2018年2月現在、防腐剤が入っていないタイプのワクチンが入手困難であるため、防腐剤入りのワクチンを使用しております。
ちなみに費用は、当院通院中の妊婦さんは3600円(税込)、ワクチン接種のみご希望の妊婦さんは4600円(税込)となっております。

尚、インフルエンザワクチンの効果ですが、接種後2~3週間ほどで効果が現れ、約3~4ヶ月間免疫能が持続するといわれています。

 

生まれてくる赤ちゃんのためにもインフルエンザワクチンを

ちなみに、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種すると、胎児に抗体が移行します。その結果、生後6ヶ月までの赤ちゃんのインフルエンザにかかる可能性が低下することが知られています。

ご本人のためだけでなく、赤ちゃんのためにも是非インフルエンザワクチンを接種しましょう。