院長コラム

女性のストレスに対する漢方薬

女性は男性に比べてストレスに対して弱いと言われており、その原因として女性ホルモンの変動が指摘されています。
特に、月経前症候群や更年期障害は、精神的なストレスによって悪化することがあり、その治療は女性の生活の質の向上に直結します。
今回は「株式会社ツムラ」さんの資料を参考に、女性のストレスに対する漢方薬について情報を共有したいと思います。

 

加味逍遙散(カミショウヨウサン)

虚弱な方の月経不順、月経困難症、更年期障害などに使用されることが多い漢方薬です。
当院では、精神症状が次々に移り変わるような月経前症候群や更年期障害に、第一選択約として処方しています。
特に、更年期障害のためホルモン補充療法を施行している患者さんに対し、精神症状の改善があまり見られない場合、加味逍遙散を併用するケースが少なくありません。

 

抑肝散(ヨクカンサン)

体力が中等度の方の神経過敏に対して処方することが多い漢方薬です。
当院では、月経前になるとイライラする・怒りっぽくなる、といった月経前症候群に対し、症状がみられる1-2週間のみ服用して頂くことがあります。
ちなみに、更年期障害など慢性的な神経症状に対しては、胃腸への負担が少ない「抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)」を持続服用して頂くことが多いです。

 

加味帰脾湯(カミキヒトウ)

虚弱体質で、精神不安や不眠などの精神症状を認め、倦怠感、貧血、不眠、食欲低下をきたす方に用いられます。
当院では、倦怠感が強く、抑うつ症状がみられる方に処方することが多く、先の加味逍遙散から切り替えることもあります。
また、貧血や疲労感を改善させる目的で、元気を出させる漢方薬「十全大補湯(ジュウセンタイホトウ)」「人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)」を使用されている方に対し、精神症状が残存している場合には、加味帰脾湯に切り替えることもあります。

 

これら3剤には「柴胡(サイコ)」という生薬が入っています、
柴胡は、イライラ・不安。不眠・抑うつなどの精神症状に有効といわれています。
これからも当院では、お一人おひとりの症状や体質に合わせて薬剤を選択し、生活の質の向上を目指して参ります。