院長コラム

女性のストレスによる症状と漢方療法

様々なストレスは心身に大きな影響を及ぼします。特に女性の場合は、ストレスにより女性ホルモンのバランスが崩れやすくなるため、男性よりも症状が出やすいかもしれません。
今回は、クラシエ薬品株式会社が作成された「女性が抱えるこころとからだの悩み」という冊子を参考に、女性のストレスと漢方について説明します。

 

 

10代の心とからだ

10代は初経を迎え、女性としての健康的な心とからだの基礎を作る、とても大切な時期です。女性ホルモン(エストロゲン)の急激な上昇により、女子から女性へと大きく変化します。このようなからだの変化だけでなく、思春期女性を取り巻く環境は非常にストレスフルであり、心身に影響を及ぼしやすい時期でもあります。

10代のストレスの原因として、親との関係・親の不仲や離婚・友人関係(いじめなど)・教師との関係・成績不振・入学や転校などによる不安・恋愛や失恋・進学や就職など、家族関係や学校関係を中心とした問題が挙げられます。

 

 

20代の心とからだ

20代は学生から社会人となり、社会的な立場が急激に変化する年代でもあります。職場での人間関係や多忙な業務など、睡眠不足や運動不足、栄養バランスが悪い食生活など、不健康な生活習慣が心身に悪影響を及ぼします。

20代のストレスの原因として、親からの独立・親の失業・進学・卒業・美容・恋愛や失恋・妊娠・出産・育児・夫との関係・家計・友人関係・会社の人間関係・人事異動・転職などが挙げられ、仕事関連や結婚関連の問題が増加します。

 

 

30代の心とからだ

一生懸命仕事に力を入れて社会的にも経済的にも自立した女性でも、仕事上のストレスにより心身に異常をきたす方も少なくありません。また、結婚・妊娠・出産・子育てを経験する女性も、育児や夫婦関係のストレスで体調を崩すことがあります。

30代のストレスの原因として、親の退職・親の病気・親の死・結婚・妊娠・出産・育児・夫との関係・別居・離婚・友人関係・会社の人間関係・人事異動・転職などが挙げられ、妊娠関係、近しい方の離別、仕事や業務の変更といった大きな変化がストレスになるようです。

 

 

40-50代の心とからだ

ほとんどの方が40代に入ると、エストロゲンの分泌が不安定になり、40代後半から50代前半にかけて更にエストロゲンが低下し、様々な更年期症状がみられるようになります。また、更年期は女性ホルモンの変化だけでなく、まわりの環境も大きく変化する時期でもあります。日常生活に支障をきたすような心身の更年期症状は更年期障害といい、治療の対象となります。

40-50代のストレスの原因として、親の病気や介護・親の死・自分の病気・夫との関係・別居・離婚・夫の死・子どもの進学や就職・子どもの独立・親戚関係・家計、友人関係・友人の死・会社の人間関係・失業・退職などが挙げられ、ご自身だけでなく、親や夫など周りの方々の健康問題もストレスに繋がります。

 

 

ストレスによる症状と漢方薬

漢方薬は一つの薬剤でいくつもの症状に対応することができ、ストレスが原因の心身の症状に対して漢方薬が奏効することも少なくありません。

不眠・いらいら・不安がある方の場合、体力がある方には「柴胡加竜骨牡蛎湯」「桂枝茯苓丸」、体力が中等度の方には「柴朴湯」「半夏厚朴湯」、体力があまりない方には「抑肝散」「抑肝散加陳皮半夏」「加味帰脾湯」「加味逍遥散」などが有効であるといわれています。

 

 

ストレスに対する耐性は人それぞれですが、規則的な生活・バランスのとれた食事・適度な運動・良質な睡眠が何より大切です。
このような健康的な生活習慣を築くためにも、漢方薬は大変有用であると思います。