院長コラム

天気痛に有用な漢方薬

もともと頭痛やめまいなどの不調のある方が、気象変化を受けて症状が増強する病態を「気象関連痛」、通称“天気痛”といいます。
天気痛をできるだけ抑え込むには、日頃から体調を整えておくと同時に、症状が悪化する前に薬剤で対応する事が大切です。
今回は、漢方関連の研究会での講演内容や資料を参考に、天気痛に有用な漢方薬について、情報共有致します。

天気痛のトップは頭痛、肩・首のこりやめまい・倦怠感も
ある調査によると、女性の7割以上が、天気の崩れによって体調不良をきたしており、約8割の方に頭痛がみられたとの報告もあります。
次いで、肩や首のコリ、めまい・耳鳴り、倦怠感を認める方が多いようですが、これらの症状も頭痛に関連して起こっている場合があるようです。
天気痛のメカニズムについては不明な点も多いようですが、気圧の揺らぎや低下といった変化を内耳にある“気圧センサー”が感知して、自律神経のバランスを崩してしまう事が、要因の一つと言われています。

体内の水分バランスを整える「五苓散」が治療薬の軸
天気痛は複数の症状がみられる事が多いため、一剤で複数の作用効果が期待できる漢方薬は非常に有用です。
中でも五苓散(ゴレイサン)は、体内の水分バランスを整える作用があり、頭痛、めまい、嘔気などの改善が期待できるため、天気痛の第一選択薬として知られています。特に、口喝・尿量の減少がみられる方に勧められます。
天気痛を認める方で、冷えが強く、胃腸が弱い方には半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)、めまい・ふらつきが特に強い場合には苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)を用いる事があります。

戦国時代、少ない軍勢の織田信長が、今川義元の大軍に勝利した要因の一つに、“今川義元の天気痛”があったとの説があるようです。
大石内蔵助の討ち入りも、吉良上野介が天気痛に苦しんでいる時期を狙った、とも言われているそうです。
歴史を変えたかもしれない天気痛。少なくとも生活の質を下げる事は間違いありませんので、天気痛でお悩みの方は、漢方薬の活用をご検討してみてはいかがでしょうか。