院長コラム
卵巣腫瘍の診察の流れ
健康診断や人間ドックの画像検査や腫瘍マーカー検査で卵巣腫瘍を指摘される方も少なくありません。
月経周期に伴う正常な卵巣嚢胞のように、自然に縮小・消失するものもありますが、病的な卵巣腫瘍である可能性もあります。
今回は、当院で行っている卵巣腫瘍に対する診察の流れについて、ポイントをお伝え致します。
〇問診:月経困難症・下腹部痛などの自覚症状を確認
月経時や性交時の下腹部痛や腰痛、排便痛などがみられた場合、子宮内膜症に伴う卵巣嚢胞(卵巣チョコレート嚢胞)の可能性を考えながら診察を勧めます。
また、20~30代の方で片側の下腹部痛がみられる場合、大きな卵巣嚢腫(6㎝以上)、特に皮様嚢腫(髪の毛・脂などを含む嚢胞)の茎捻転(卵巣の根元のねじれ)を疑い、高次施設への転院の可能性も考えて診察します。
ただし、痛みなどの自覚症状がない場合でも、大きな嚢胞や悪性腫瘍がみられる事があるため、注意して画像検査を行います。
〇画像検査:超音波検査・MRI検査で悪性所見の有無などを確認
内診により卵巣嚢胞のおおよそのサイズや圧痛の有無などを確認した後、経腟(または経腹)超音波検査を行います。
嚢胞の大きさを計測し、内部の画像所見から種類を推定し、悪性の可能性について検討します。
明らかに大きな腫瘍である場合、超音波検査にて悪性所見がみられた場合、あるいは茎捻転が疑われた場合は、その時点で高次施設へ紹介致します。
もし、明らかな悪性所見がなく、茎捻転に対する緊急手術の適応がなければ、骨盤腔のMRI検査(原則として造影剤使用)を行うよう手配します。
その結果、悪性所見が否定できない場合には高次施設へ紹介致します。
〇腫瘍マーカーの血液検査:CA125、CA19-9、CEA
様々な腫瘍マーカーの中でも上記3種類は婦人科がんに関連しており、卵巣嚢胞の種類を診断するのに重要な検査です。
もし、画像所見で明らかな悪性所見がみられない場合でも、腫瘍マーカーが異常高値であれば、精査目的で高次施設へ紹介しています。
また、CA125、CA19-9が中等度高値で、画像所見で卵巣チョコレート嚢胞と診断された場合は、子宮内膜症としてホルモン治療を検討しております。
当院の卵巣腫瘍の紹介先としては、東京医療センター・東邦大学医療センター大橋病院・関東中央病院・日赤医療センター・慶応大学病院・新百合ヶ丘総合病院などがあります。
卵巣嚢胞の大きさや種類、自覚症状によっては当院で経過観察することもあり、その場合は3~6か月ごとに受診して頂いています。
健康診断などで卵巣嚢胞が指摘された場合は、自覚症状がなかったとしても、是非婦人科外来をお訪ねされることをお勧めします。