院長コラム

医師となって30年~反省と今後の取り組み~

手元にある私の「医師免許証」には、交付日平成4年5月29日とあります。つまり、1992年5月に医師となり、今年2022年5月で30年が経過したことになります。
30年間、日々学びながら、患者さんの診療に携わって参りましたが、今なお未熟な点も多く、医師としても、人としても“発展途上”である事を痛感する毎日です。
これまで患者様やご家族の方々から、数多くの厳しいご意見を頂戴して参りました。
今回は、医師人生30年間の振り返りとして、特に心に刺さったご意見に対しての反省と、今後の取り組みについてお伝え致します。

 

「医師として患者さんに寄り添えていないのではないか?」

このご批判は、「患者様に寄り添う医療」を目指してきた私にとって、破壊力のある一言でした。
私が診療で日々心掛けているのは、「今現在標準とされている医療を目の前の患者様に最善な形で提供すること」です。
ただし、“標準医療”が全ての方にとってベストであるとは限りません。医療には「絶対に間違っている方法」はありますが、「絶対に正しい方法」はなく、正解はないともいえるでしょう。
ところが、これまで私は「診療ガイドライン」「これまでの自分の経験」「業界での常識や一般論」などに重きを置き、患者様のお考えや信条、お仕事や生活環境への配慮が欠けていたこともあったかもしれません。改めて、医師として独りよがりで、傲慢であった部分を深く反省致します。

 

患者様お一人おひとりに適した医療のご提案へ

「患者さんに寄り添えていない」との声を頂いたのは、私が最良と考えている方法を行うため、あまりご納得されていない患者様を強引に説得しようしたことが原因かもしれません。
これからは、診療ガイドラインや経験などを踏まえつつも、患者様のお気持ちや生活を第一に考えた上で、様々な選択肢から最良の医療を提案し、患者様と(あるいはご家族も)一緒に方針を決定していきたいと考えています。
そのためにも、患者様のお話を傾聴し、病状や方針を説明する際には、より丁寧にわかりやすくお伝えする事を改めて心掛けて参ります。

 

患者様にとって(あるいはお腹の赤ちゃんにとって)絶対に正しい医療は存在しないかもしれません。
それでも、患者様にとって(あるいはお腹の赤ちゃんにとって)現時点で最善と思われる医療を目指し、患者様にご納得頂ける形で提供することが私の使命と考えております。
医師として31年目、このことを肝に銘じて、これからも日々の診療に取り組んで参ります。