院長コラム

低用量経口避妊薬(OC)・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)の服用開始時期

避妊に対してはOC、月経困難症に対してはLEPが非常に有用であり、禁忌でない方に対しては第一選択でお勧めしています。
ただし、服用開始時期が適切でないと排卵してしまう可能性があり、十分に効果を発揮することができません。
今回、「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(OC・LEP)ガイドライン2020年度版」を参考に、OC・LEPの服用開始時期について説明します。

 

(1) できれば月経開始日(月経周期1日目)から服用を

ある報告によると、OC・LEPの服用開始時に卵胞(卵子が入っている袋)の大きさが10mmの場合には排卵した女性は0%でしたが、14mmでは36%、18mmでは93%の女性が排卵したとのことです。
別の研究では、月経周期1日目に服用を開始した女性よりも、月経周期5日目に服用を開始した女性の方が、卵胞が10mm以上になった割合が多かったそうです。
以上より、できるだけ月経が始まって早い時期、できれば月経周期1日目からOC・LEPの服用を開始することをお勧めします。

 

(2) 遅くとも月経開始5日後(月経周期5日目)までに服用開始

一方で、OC・LEPの服薬開始時期を月経周期1日、4日、7日と遅らせると、卵胞の大きさが13mm以上に達する女性の割合は増加しましたが、排卵率には差がなかったとの報告があります。
これら研究結果を考慮し、ガイドラインではOC・LEPを月経周期5日目までに服用開始することを強く推奨しています。

 

(3)月経周期6日目以降に服用開始した場合の対応

月経周期6日目以降に服用開始した場合は排卵してしまう可能性があるため、避妊目的で服薬している方は、性交時コンドームを適切に使用するようにしましょう。
また、OC・LEPを7日間連続で服用した場合には、その周期には正常な排卵が起こらないと考えられています。したがって、コンドームの破損や腟内遺残がご心配の方は、OC・LEPを服用開始して7日間は性交を避けることをお勧めします。

 

避妊や月経困難症のためにOC・LEPをご希望される方は、まずは月経周期を気にせず受診して下さい。
診察にて、OC・LEPの使用が望ましいと判断した場合に、適切な薬剤を処方致します。
受診日が月経周期5日目までであれば、当日からの服薬とします。
もし、受診日が月経周期6日目以降であれば、次回月経開始日からの服薬をお勧めします。