院長コラム

低用量経口避妊薬(ピル)を飲み忘れた場合の対処法

ある調査によると、低用量経口避妊薬(OC)を飲み忘れる方は、服用者の80%以上との報告があり、決して少なくありません。
OCを飲み忘れてしまうと、休薬期間中に卵胞が発育してしまう可能性があり、避妊効果が低下します。特にOCのシートの初め、または終わりに飲み忘れてしまい、休薬期間が7日を超えると、排卵の確率が高くなることが知られています。
今回、「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(OC・LEP)ガイドライン2020年度版」を参考に、OCを飲み忘れた場合の対処法について説明します。

 

(1)1錠の服用を忘れた場合(直前の実薬服用からの経過がまだ48時間未満の場合)

  • 飲み忘れた錠剤をなるべく早く(できれば気付いた時点で)服用する。
  • 残りの錠剤は予定通りに服用する(同じ日に2錠服用してもよい)。
  • 緊急避妊は通常必要ない。ただし、同じ周期にすでに飲み忘れがある場合、もしくは前の周期の最終実薬週に飲み忘れがある場合には、検討してもよい。

 

(2)2錠以上の服用を忘れた場合(直前の実薬服用から既に48時間以上も経過してしまった場合)

  • 飲み忘れた錠剤のうち、直近のものをなるべく早く(できれば気付いた時点で)服用する。
  • 残りの錠剤は予定通りに服用する(同じ日に2錠服用してもよい)。
  • コンドームなどの追加の避妊法を使用するか、または7錠以上連続して服用するまでは性交を避ける。
  • 第1週に飲み忘れ、かつ直前5日以内に性交を行った場合には、緊急避妊を検討する。
  • 第3週に飲み忘れた場合には、休薬期間を設けず(あるいはプラセボを飲まず)、現在のシートの実薬を終了したら、すぐに次のシートを始める。

 

OC服用が習慣化していても、つい飲み忘れてしまうことがあるかと思います。
スマートホンのリマイド設定など、飲み忘れ防止策を考える必要があるかもしれません。
その上で、日頃から性交時にはコンドームの使用を習慣化することもお勧めします。
頻回に2錠以上の服用を忘れるようであれば、子宮内避妊具の使用も検討しましょう。