院長コラム

低用量ピル服用の注意点

以前、低用量ピル(OC)の必要性と有用性についてお話しましたが、本日はOCの服用の注意点について説明します。

 

OCの重大な副作用は「血栓症」

血管の中に血液の塊である血栓が生じ、血液の流れが悪くなった状態を血栓症といいます。静脈系の血管に生じた血栓症を静脈血栓症といい、特に足に認めることが多いです。

OCには血液を凝固させる働きがあり、特に服用開始3か月以内に血栓症をきたしやすいことが知られています。
当院では、3か月まで1か月ごとの問診、血圧測定を行い、異常がないことを確認してから1か月分を処方します。

 

「血栓症」の重篤な症状

以下の症状が現れたら、すぐに救急医療機関または当院を受診して下さい。

① 突然の足の痛み・腫れ(特に片側のふくらはぎ)
② 手足の脱力・まひ
③ 突然の息切れ、激しい腹痛や胸痛
④ 激しい頭痛、舌のもつれ、しゃべりにくい
⑤ 突然物が見えにくくなる・視野が狭くなる

 

OC服用中の喫煙は血栓症のリスクが上昇

OC服用中に喫煙すると、静脈血栓症をはじめ、肺塞栓症、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高くなります。
特に35歳以上で1日15本以上タバコを吸う方は、OCを服用することはできません。

当院では、1日一桁の本数の方には注意しながら処方を開始することはありますが、全員禁煙を目指して頂きます。

 

その他の血栓症のリスク因子

喫煙以外にも脱水や動かない事が血栓症リスクを高める要因になります。
スポーツをされる方はこまめに水分を補給し、入浴前後も水分補給に心がけましょう。

また、飛行機や電車、自動車などでの長時間の移動の際には、適度に体を動かし、積極的に水分を取るようにしましょう。

 

OCの一般的な副作用

OCを服用開始してしばらくは、嘔気、頭痛、乳房痛、不正出血などの症状を認めることがあります。
その多くは1か月以内、長くても3か月以内には軽快する事が多いため、原則として服薬を継続します。
ただし、症状が増強した場合は精査、場合により休薬が必要になりますので、早めにご相談下さい。

 

OCは非常に有益な薬剤ですが、血栓症など重篤な副作用には注意が必要です。
予防として、喫煙者は禁煙し、入浴前後や運動中のこまめな水分摂取に心がけましょう。
もし、重篤な症状が現れましたら、救急病院または当院へご連絡下さい。