院長コラム
低用量ピルが高い避妊効果を発揮するワケ
経口避妊薬(OC)と月経困難症治療薬の低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)は、理想的に服用していれば99.7%(飲み忘れなどを考えた一般的な服用でも90%以上)の避妊効果が期待できます。
一方、男性用コンドームは、最初から最後まで理想的な使用であれば避妊効果は約98%ですが、一般的な使用であれば80~85%にまで低下します。
今回は、OC・LEP(以下低用量ピル)の避妊効果がなぜ高いのか、について説明致します。
〇卵胞を大きくさせず、排卵しないようにする
通常、脳から卵胞刺激ホルモン(FSH)というホルモンが分泌され、卵巣にある卵胞(卵子が入っている袋)に命令し、卵胞を大きくします。
その際、卵胞から卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されます。ある程度卵胞が成長すると、今度は脳から黄体形成ホルモン(LH)が分泌され、成長した卵胞を破裂させるように働きます。その結果、中にある卵子は外に飛び出る事になります。これが排卵です。
一方、月経期から低用量ピルを服用すると、脳に働きかけてFSHやLHの分泌を抑えます。その結果、卵胞は成長せず、破裂もしないため、排卵を防ぐことになります。
〇子宮内膜を薄くし、受精卵がくっつかないようにする
エストロゲンは子宮内膜を厚くし、排卵後に作られる黄体から分泌される黄体ホルモンの作用で、子宮内膜は妊娠に適した状態に変化します。受精卵が、そのようなフカフカな子宮内膜にくっつく事で妊娠が成立します。これを着床といいます。
一方、低用量ピルを服用すると、自前のエストロゲンや黄体ホルモンの分泌が抑えられるため、子宮内膜は薄いままとなり、万が一、受精卵が子宮内腔にやって来たとしても、子宮内膜に着床することができなくなります。
〇子宮頸管粘液を変化させて、精子が子宮内腔に入りづらくする
通常、排卵前になるとエストロゲンの作用により、子宮頸管(子宮の入り口)から分泌される粘液の状態が“ツルーン”となることで、精子が頸管を通って子宮内腔へ進入しやすくなります。
一方、低用量ピルを服用していると、頸管粘液が“ベタッ”と変化します。あたかも子宮頸管に蓋をするような状態になるため、精子が子宮内腔へ進入しづらくなります。
以上のように、“排卵ブロック”“着床ブロック”“精子ブロック”といった3つの作用によって、低用量ピルは高い避妊効果を発揮します。
ただし、血栓症のリスクがある方にはエストロゲン成分を含む低用量ピルは使用できず、また、性感染症の予防効果もありません。
メリット、デメリットを考え、血栓症リスクある方でも使用できる黄体ホルモン製剤の使用、男性用コンドームとの併用など、適切な避妊法のご検討をお勧めします。