院長コラム

令和5年新年を迎えて

明けましておめでとうございます。
皆様、どのような新年を迎えられていらっしゃるでしょうか。
今回は、令和5年の年頭にあたり、今年の当院の抱負や方針についてお伝え致します。

 

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種の更なる啓発

令和5年4月から、小学校6年生~高校1年生相当の女子に対し、「9価ワクチン:シルガード9」が定期接種の適応となる予定です。
現在主流となっている「4価ワクチン:ガーダシル」は、子宮頚がんの原因となるハイリスクHPVの2つの型に、尖圭コンジローマという性感染の原因となるローリスクHPVの2つの型を合わせた、計4つの型を予防します。
一方、9価ワクチンはハイリスクHPV7つの型に加えて、ローリスクHPV2つの型を合わせた、計9つの型を予防できます。
その結果、4価ワクチンによる子宮頚がん減少率は約70%であるのに対し、9価ワクチンでは約90%防ぐことが期待されています。
今後さらに、思春期女性の方々に子宮頚がん予防への関心を持って頂けるよう、地域の中学校・高校への性教育・生涯教育授業など、啓発活動を行って参ります。

 

更年期医療の更なる充実

以前より当院では、ホルモン補充療法(HRT)や漢方療法を中心とした更年期医療に力を入れております。
昨年12月、HRT使用の際、子宮体がん予防として用いられている黄体ホルモン製剤「エフメノカプセル」が、長期処方可能になりました。エフメノカプセルには、睡眠に質を上げる効果も期待されており、今後HRTの主軸になっていくと思われます。
また、諸般の事情により、漢方薬の種類によっては入荷困難な薬剤が増えてきました。今後はこれまで以上に、お一人おひとりの症状に合わせた、きめ細かな漢方療法を心掛けて参ります。
さらに、デリケートゾーンの不快感に対する外陰・膣レーザー治療については、昨年の件数が前年に比べて、1割以上増加しました。今後更に、レーザー治療の有用性についても啓発し、多面的な更年期医療の充実を図って参ります。

 

より安心・安全な産前産後の母児のケア

新型コロナウイルス感染の状況が今後どのように変化するのかはわかりませんが、母体の救急搬送の手配が次第に困難になってきていることは間違いありません。
そのため、妊娠・分娩時のリスクがある程度高いと思われる方は、初めから中規模以上の医療施設での分娩管理が望ましいと思われます。
令和5年夏以降、当院における分娩基準を見直し、母児にとって、より安心で安全な分娩場所を検討したいと思います。
反対に、出産後は大病院よりも、当院のようなアットホームな施設でマンツーマンの指導が望ましいケースも少なくありません。
妊婦健診は当院で受けられて、他施設でお産された方に対しては、いずれご希望に応じて入院での産後ケアができるよう、体制を整えていこうと考えております。

 

1968年に開院した当院は、本年7月で55周年を迎えます。
様々な状況の変化に応じて、これからも当院は進化して参ります。
スタッフ一同、地域の産婦人科医療の充実・発展に尽力して参りますので、引き続き宜しくお願い申し上げます。