院長コラム

カンジダ外陰腟炎の症状と治療法

カンジダ外陰膣炎はカンジダという真菌(カビ)が原因の女性性器感染症で、“75%の女性が生涯で少なくとも1回はかかる”といわれています。
今回は、「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2020」を参考に、カンジダ外陰腟炎の症状と治療法について説明します。

 

かゆみ+カッテージチーズ(酒粕)様の帯下

実は、カンジダ菌自体は消化管や皮膚の常在菌であり、直腸から肛門、会陰を通って膣に入り込みます。
性成熟女性(非妊婦)の約15%の方は腟内にカンジダが認められますが、実際に症状が現れてカンジダ症となった率は約37%であった、との報告があります。
自覚症状は帯下感、かゆみ(痛痒い)などで、カッテージチーズ様、酒粕様といった帯下がカンジダ腟症に特徴的です。また、深緑色の粘度の様な帯下がみられることも少なくありません。

 

治療(1)抗真菌腟錠

「フロリード腟坐剤100㎎」(エンペシド腟錠・オキナゾール腟錠)

当院では、カンジダ症に特徴的な帯下が認められた場合や、腟培養検査でカンジダが検出された上に外陰部掻痒を認めている場合、抗真菌薬の腟錠を第一選択としています。
可能であれば連日あるいは1日おきに通院して頂き、膣洗浄後「フロリード腟坐剤100㎎」を1錠入れます。合計6回前後を目安に治療しますが、さらに追加治療を行う場合もあります。
頻回の通院が困難な方には腟錠を処方して1日1回、就寝前に自己挿入して頂くこともありますが、治療が不十分になることもあるため、通常は次の腟錠を使用します。

「イソコナゾール腟錠300㎎」

通院が困難な方の場合、週に一回、膣洗浄の後「イソコナゾール腟錠300㎎」2錠を腟内に挿入します。1週間後の診察で、カンジダ様帯下や掻痒感が継続する場合には、「フロリード腟坐剤100㎎」の連日投与に切り替えます。
自覚症状がなくなり、帯下所見が改善すれば「治癒」と判定します。

 

治療(2)外陰部の掻痒感には抗真菌外用剤

「フロリードDクリーム」(エンペシドクリーム、アデスタンクリーム、オキナゾールクリーム)

大陰唇より外側にかゆみや炎症がみられる場合には、皮膚カンジダ症に対する治療として、抗真菌外用剤「フロリードDクリーム」を1日3回程度外陰部に塗布して頂きます。
尚、外陰部洗浄の際は刺激の強い石鹸は控えて頂き、ぬるま湯または「コラージュフルフル泡石鹸」(低刺激・弱酸性・抗菌・抗真菌の石鹸)の使用を当院では推奨しています。

 

抗菌薬の服用、妊娠、免疫力の低下、通気性の悪い下着の着用、糖尿病などがカンジダ外陰膣炎の要因といわれています。
免疫力を下げないため、日頃からバランスの取れた食生活、良質な睡眠、ストレスの軽減に心がけ、外陰部の衛生面にも注意しましょう。
もし、かゆみや帯下の異常がみられましたら、早めに婦人科を受診して下さい。