院長コラム
運動習慣がある女性の月経トラブルとエネルギー不足
女性アスリートの方はもちろん、趣味でスポーツをされている女性が抱える婦人科的問題として、無月経があります。
無月経の主な原因として、利用可能エネルギー不足(運動によるエネルギー消費量に比べて、食事からのエネルギー摂取量が少ない状態)が知られています。
今回は、「産婦人科の実際 2025年8月号」を参考に、運動習慣がある女性の月経トラブルと利用可能エネルギー不足について、情報共有致します。
エネルギー不足がない時
脳にある視床下部という部位からある種のホルモンが分泌され、そのホルモンがやはり脳にある下垂体を刺激することで、卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されます。FSHは卵巣にある卵胞(卵子を入れている袋)を刺激し、エストロゲン(卵胞ホルモン)を分泌させます。エストロゲンは子宮内膜を厚くさせ、卵胞が大きくなってきたら、下垂体から黄体化ホルモン(LH)分泌させて、排卵を促します。
排卵後の卵胞は黄体という組織に変化し、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌させます。
プロゲステロンは子宮内膜の増殖を止めて、妊娠に適した状況に変化させます。ちなみに、妊娠していなければ、排卵日から14日以内に次回の月経が始まります。
エネルギー不足が軽度の場合
エネルギー不足が進むにつれて、黄体から分泌されるプロゲステロンが低下し、黄体機能不全となり、排卵~次回月経の期間が10日以内となります。
更にエネルギー不足が進行すると、LHの分泌が低下し無排卵となり、エストロゲンの変化や刺激による性器出血(見かけ上の月経)がみられる事もあります。
エネルギー不足が重度の場合
視床下部から下垂体に命令するホルモンが低値になると、卵胞からのエストロゲン分泌が低下します。
その結果、3か月以上月経が来ない「無月経」となってしまいます。
無月経となってしまうほどにエストロゲンが低下すると、骨密度が低下し、骨粗しょう症のリスクが増大します。
さらに、エネルギー不足により低体重になると、骨への刺激も低下するため、骨粗しょう症になって「疲労骨折」をきたす可能性増えます。
摂取エネルギーを増やすためには、主食・主菜・副菜・果物から、バランスよく5大栄養素を摂るようにしましょう。