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院長コラム

腹圧性尿失禁・過活動膀胱の初期診療について

中高年女性の排尿に関するお悩みのうち、尿失禁や頻尿は非常に多く、泌尿器科だけでなく婦人科を受診される方も少なくありません。
今回、「日本医師会雑誌」(2020年8月号)の特集記事を参考に、腹圧性尿失禁・過活動膀胱の初期診療について説明します。

 

腹圧性尿失禁の特徴

なんらかの原因で腹圧がかかった時に尿が漏れる事を「腹圧性尿失禁」といいます。
腹圧がかかるきっかけとして、咳やくしゃみ・走行や歩行、スポーツが多いといわれています。
また、職業では看護・介護職のおむつ替え、車いす移乗の介助、保育・教職では体育の授業、販売業などでは重量物の運搬などが問題となり、仕事や生活、余暇などに支障をきたすことも少なくありません。

 

過活動膀胱の特徴

膀胱が過敏な状態になり、尿意切迫感・切迫性尿失禁・頻尿をきたす病気を過活動膀胱といいます。
中でも尿意切迫感は必須の症状であり、徐々に強まる正常の尿意とは異なり、急に起こる我慢できない尿意であることが特徴です。
切迫性状失禁は、腹圧によらない尿失禁で、「ドアノブ尿失禁」、「手洗い尿失禁」を認めることがあります。「ドアノブ尿失禁」とは、玄関やトイレのドアを開ける時や下着を下ろす時など、“後もう少し”というところで抑制が外れてしまう尿失禁です。「手洗い尿失禁」とは、炊事洗濯、洗顔など水への接触が引き金となる尿失禁です。
また、排尿の回数が朝起きた時から寝る時までに8回以上、あるいは排尿のため夜間に起きた回数が1回以上あれば頻尿と考えられます。

 

生活上の注意

  • 減量

体重増加、肥満が尿失禁のリスク因子といわれているため、BMI:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が25以上の方の場合、食事療法や運動療法による減量で、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁の双方が改善する可能性があります。

  • 飲水制限

熱中症や脳梗塞、膀胱炎予防に水分を摂取することが推奨されるため、過度な多飲多尿になっていることがあります。
1日尿量40ml/kg以上は多尿の傾向といわれており、1日尿量20~25ml/kg(体重60kgなら1,200~1,500ml)を目安に適度な飲水制限をすることが望ましいようです。
尚、アルコールは尿量を増やすので、飲み過ぎには注意しましょう。

 

腹圧性尿失禁・過活動膀胱の治療として、骨盤底筋訓練(尿道・腟・肛門の収縮と弛緩を繰り返す)、膀胱訓練(尿意を我慢し排尿間隔を2~3時間に延ばす)といった行動療法が有用です。
ただし、過活動膀胱に対しては薬物療法が治療の中心です。
生活改善・行動療法・薬物療法を組み合わせて、排尿トラブルを改善しましょう。

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