HOME > 院長コラム > 月経前症候群/月経前不快気分障害の管理

院長コラム

月経前症候群/月経前不快気分障害の管理

月経前症候群(PMS)は、「月経開始の3~10日ぐらい前から始まる精神的、身体的症状で、月経開始とともに減退ないし消失するもの」と定義されています。
また、PMSで精神症状が重篤な場合を月経前不快気分障害(PMDD)と呼んでいます。
今回は、「女性医学ガイドブック思春期・性成熟期編2016年度版」(日本女性医学学会編)、「日本女性医学学会ニューズレター 2020年9月」の記事を参考に、PMS/PMDDの管理について説明します。

 

ステップ1. 症状記録

月経前の心身の体調不良が認められた場合、少なくとも二か月にわたり、毎日の症状や月経状況などを「症状日記」として記録することが勧められています。
可能であれば、排卵の時期などを確認するため、基礎体温を測定することも有用です。
一般的に、PMSであれば排卵前に症状は消失します。
もし、「月経中や排卵前にも精神症状が認められ、月経前になると症状が増悪する」のであれば、それはPMS/PMDDではなく、精神疾患の「月経前増悪」である可能性があり、婦人科ではなく精神科の受診が必要です。

 

ステップ2. 生活改善

様々な生活習慣がPMS/PMDDに関与していると言われているため、「症状日記」を参考にして、生活改善に取り組むことも大切です。
特に、適度な運動・バランスの取れた食事・良質な睡眠・規則正しい生活は大変重要です。
また、禁煙、アルコール・カフェイン・精製糖の制限も有用です。
さらに、レラクゼーション、仕事やスケジュールの調整、家庭生活の責任分担などにより、精神的・身体的ストレスを緩和し、ご自身をいたわるようにしましょう。

 

ステップ3. 薬物療法

  • 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP製剤)

排卵後、黄体という組織から分泌される黄体ホルモンが、PMSの要因の一つと考えられています。
LEP製剤は排卵を抑制することで、黄体ホルモンを分泌させないようにします。その結果、月経前の身体症状・精神症状ともに軽減することが期待できます。
尚、LEP製剤は月経困難症に保険適応があるため、PMS/PMDDに加えて月経痛も認める方に対して、LEP製剤が第1選択薬となります。
当院では主に、「ヤーズフレックス配合錠」または「ジェミーナ配合錠」を用いた連続投与法を行っています。

 

  • 抗うつ薬:選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)など

精神症状が主体のPMSやPMDDに対しては、SSRIが第1選択となります。
うつ病に対しては連続投与法が用いられますが、PMS/PMDDの場合、症状が認められる月経前の期間のみ服用する「間欠投与法」でも効果が期待できます。
当院ではSSRIの中でも、比較的使用しやすい「レクサプロ」を用いることが多く、LEP製剤や漢方薬と併用することも少なくありません。

 

  • 漢方薬

LEP製剤やSSRIが効かない症状がある場合や、それらの副作用が強い場合、ホルモン剤や抗うつ薬の服用に抵抗がある方などに対して、漢方薬を用いることがあります。
当院では、加味逍遥散、加味帰脾湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏などがよく用いられています。
症状が出現する期間だけでなく、連続服用して頂いている方もいらっしゃいます。

 

私たちはPMS/PMDDに対し、様々な薬剤を組み合わせて、症状の改善度を見ながら治療を行っています。
ただし、PMS/PMDDの管理の基本は、「生活改善」であることを忘れないようにしましょう。

ページトップへ