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院長コラム

月経前の不快症状への対策

月経前に様々な精神的・身体症状が現れ、生活の質が低下してしまう女性は少なくありません。その原因として、排卵後の黄体ホルモンの影響や脳内神経伝達物質の影響などがいわれていますが、不明な点も多く、治療法も確立されていません。
今回、「第36回日本女性医学学会学術集会」の講演で学んだ事を含め、当院における月経前の不快症状への対策についてお伝えします。

 

PMSとPMDDとPME

PMSは「月経前症候群」といい、月経開始の3~10日くらい前から始まる精神症状(いらいら、抑うつ、怒りなど)、身体症状(乳房痛、頭痛、むくみなど)で、月経開始ともに減退ないし消失するものをいいます。
PMDDは「月経前気分不快障害」といい、わが国には明確な定義はありませんが、PMSのうち、精神症状が非常に重く、日常生活や対人関係に支障をきたすものをいいます。
PMEは「月経前増悪」といい、慢性的な精神疾患の症状が月経前にコントロール不良になる病態をいいます。
一般的に、月経前に生理的な変化をきたす女性は80~90%、PMSをきたす女性は20~40%、PMDDの女性は5~8%といわれています。

 

隠れている病態

ある専門医の先生のお話によると、PMSやPMDDは「サイン」であって、多くの場合はその陰に「胃腸虚弱」、「鉄・蛋白などの栄養不良」といった病態が隠れているとのことです。
しかも、これらの症状や病態はそれぞれ関連しており、例えば過多月経の方の場合、経血が多くて貧血になると、胃腸が虚弱になり、その結果鉄や蛋白の吸収が不良になると、さらに貧血など栄養不良が進み、月経前の症状も悪化するといった、負の連鎖が続くそうです。
この連鎖を断ち切るためには、胃腸症状や栄養摂取の改善にも取り組む必要があるようです。

 

治療法の選択肢

当院としては、月経困難症もみられる場合、排卵を抑制して黄体ホルモンを上昇させないようにする低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP:ヤーズフレックス錠など)を第一選択としています。LEPは経血を減少させるため、貧血の改善にも有効です。
抑うつ症状が強い場合は、“幸せホルモン”といわれる脳内伝達物質「セロトニン」を増加させる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:レクサプロ錠など)を周期的または連続的に使用します。
また、加味逍遙散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、抑肝散、五苓散など、症状や体質に合わせた漢方薬を用いることもあります。
メンタルクリニックで治療されているPMEの方に対しても、LEPや漢方薬を併用することで月経前症状の改善が期待できます。
また、胃腸虚弱や鉄欠乏性貧血に対して、六君子湯、人参養栄湯などの漢方薬や「リオナ錠」などの鉄剤を処方することがあります。

 

月経前症状で日常生活に支障をきたすようになった方は、まず月経2周期にわたり「症状日記」を記録することをお勧めします。
身体症状が強い方や精神症状が軽度~中等度の方は、婦人科クリニックを受診して下さい。
精神症状が強い方や精神疾患の既往がある方は、精神科・メンタルクリニックを受診しましょう。

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