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院長コラム

更年期医療と口腔機能

口腔は、摂食・消化機能、呼吸関連機能、コミュニケーション機能など、多くの役割があるため、口腔の機能が失われると低栄養状態や閉じこもりなどを引き起こし、全身の健康を損ねることになります。
今回は、更年期医療からみた口腔機能の低下について説明します。

 

 

オーラルフレイルと口腔機能低下症

口腔への関心が低下し、虫歯や歯周病などで歯が喪失すると、オーラルフレイルになります。

オーラルフレイルとは、「滑舌低下」「わずかのむせ・食べこぼし」「噛めない食品増加」などが現れている状態です。

この状態が進むと、口腔機能低下症となり、「口腔不潔」「咬合力低下」「咀嚼機能低下」「舌・口唇運動機能低下」「嚥下機能低下」「低舌圧」そして「口腔乾燥」の7つの症状をきたすようになります。

さらに進むと、「摂食嚥下障害」「咀嚼機能不全」といった口腔機能障害に至り、専門的な対応が必要になります。

 

 

口腔乾燥症とエストロゲン

更年期女性は、のぼせ・発汗などの典型的な更年期症状だけでなく、口腔乾燥症など口腔症状が現れることも少なくありません。女性ホルモンであるエストロゲンの受け皿(受容体)は唾液腺や口腔粘液に存在しているため、エストロゲンの低下が直接口腔乾燥を引き起こすといわれています。

その他、更年期症状や社会的環境の変化などがストレスになって二次的に口腔乾燥症状が生じている可能性もあります。

 

 

口腔乾燥症の治療

自己免疫疾患の一つであるシェーグレン症候群による口腔乾燥症に対しては、症状を改善する薬物療法が保険適応になっています。また、唾液分泌を促進するとの報告がある漢方薬も用いられています。

その他、唾液腺のマッサージや口腔保湿剤の指導なども有効であるといわれています。

口腔乾燥を更年期障害の一つとして考えるとホルモン補充療法も治療法として検討されますが、唾液分泌量が増加したという報告がある一方で、必ずしも症状が改善されたとはいえない、といった報告もあるため、口腔乾燥症だけの治療目的ではホルモン補充療法を選択しづらいのが現状です。

 

 

口腔機能低下症が見られたときは歯科診療所での対応になり、口腔機能障害まで進めば、歯科口腔外科を受診する必要があります。
また、更年期女性の口腔乾燥に対しては婦人科医として、ホルモン補充療法や漢方療法での対応を検討しますが、必ずしも十分とはいえません。
そのため、若年のうちから生涯を通じて口腔内衛生に関心をよせ、虫歯や歯周病の予防・早期発見・早期治療に心がけることが口腔機能を維持・向上に欠かせないと考えられます。

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