院長コラム
感冒症状がみられる妊婦さんへの当院の対応
新型コロナウイルス感染拡大が止まらない中、3月27日付で東京都医師会作成の「新型コロナ感染症を意識した“かかりつけ医の外来診断手順”」が通知されました。
今回は、当院に通院中で感冒症状がみられる妊婦さんに対する、現時点での当院の対応について説明します。
(1) ご自宅で症状確認と検温を
軽い咳、鼻汁、咽頭痛、頭痛、倦怠感など“風邪気味”の症状がみられた場合、いつから症状が出現したのか等を記録するとともに、ご自宅で体温を計測しておいて下さい。
もし、症状が軽く、体温も37.5度未満であれば自然に軽快する可能性が高いと思われます。スポーツドリンクやOS-1などで水分と電解質を補給し、ご自宅で安静にされて下さい。
もちろん、お仕事をお持ちの方は、症状がおさまるまでお休みしましょう。
(2) 受診される前に電話連絡を
体温は37.5度未満でも、感冒症状により体力が消耗しそうな場合は、まずはお電話を下さい。通常の感冒の可能性が高い場合は、当院で対応することも可能です。お薬の処方が必要と判断した場合は、マスク装着の上ご来院下さい。
(3) 肺炎が疑わしい方への対応
感冒症状と37.5度以上の発熱が2日間続いた場合、あるいは息苦しさや強いだるさを認める場合は、肺炎の可能性も否定できません。
その場合は、かかりつけ内科クリニックまたは「世田谷区帰国者・接触者電話相談センター:03-5432-2910」(平日8:30~17:15)・「東京都新型コロナ患者相談センター:03-5320-4592」(土日休日・平日夜間)へご連絡頂き、診察可能な医療施設をご確認下さい。
(4) 通常の感冒と思われる方への対応
感冒症状の初期の頃であれば「葛根湯」を3日間程度、鼻汁・くしゃみが辛ければ「小青竜湯」、乾いた咳が強ければ「麦門冬湯」などの漢方薬を7日間程度処方します。
咳・痰・咽頭痛がみられた場合は、「メジコン錠」・「ムコダイン錠」・「トランサミン錠」などの内服薬を5~7日間処方する事があります。また「アズノールうがい薬」なども有用です。これらの薬剤は、胎児への影響がほとんどありません。
尚、発熱・頭痛に対して解熱鎮痛剤「カロナール(アセトアミノフェン)」を処方することがありますが、妊娠末期に多量に服用すると胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。また、発熱は生体防御に有利に働くことが知られていますので、漫然と服用するのではなく、本当に必要な時に服用して頂く“屯服薬”として使用しています。
夜間・休日の外出自粛要請が出た首都圏ですが、感染がある程度終息するまでは妊婦さんはもちろん、ご主人やお子様など同居されているご家族も、人が多いエリアには近づかないようにしましょう。
やむを得ず外出した場合には、こまめに手洗いすることが大切です。
そして免疫力を下げないためには、バランスのとれた食事と良質な睡眠に心掛けましょう。