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思春期女性の子宮内膜症対策

子宮内膜症は月経困難症や慢性骨盤痛をきたす病気で、不妊症の原因にもなります。
主に10代後半から発生し、性成熟女性の10%は罹患するといわれており、多くは20~30歳台で診断されます。
もし、子宮内膜症が発生する前後に予防・早期治療ができれば、その後の人生が大きく変わります。
今回は、「臨床婦人科産科2020年6月号」(医学書院)などを参考に、思春期女性の子宮内膜症対策について説明します。

 

思春期内膜症の罹患率と発生リスク

腹腔鏡を用いた報告では、慢性骨盤痛を認める思春期女性の62%、月経痛を有する思春期女性の70%に子宮内膜症が認められたとのことです。
また、初経年齢が早いほど発生リスクが高く、初経後の早い時期から月経痛を認めていた方は、ほとんど月経痛がなかった方と比べて、有意に子宮内膜症を発症することが多かったとのことです。

 

子宮内膜症の治療薬

子宮内膜症の発生原因のひとつに、腹腔内への月経血の逆流が指摘されています。2種類の女性ホルモンの合剤である低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP製剤:ヤーズフレックス錠、ジェミーナ錠など)は、排卵を阻害すると同時に、子宮内膜を薄くし、経血量を減少させ、子宮収縮を抑制することによって腹腔内への逆流月経血を減少させて、子宮内膜症発生を予防します。もちろん、月経痛も改善します。
ただし、外部からのエストロゲンの投与は、骨の成長を止めてしまう可能性があります。初経後であれば、LEP服用により骨成長に影響を及ぼすことはありませんが、念のため、骨成長が終了する15歳以降の使用が勧められます。
また、1種類の女性ホルモンの薬剤、黄体ホルモン製剤(デュファストン錠、ディナゲスト錠1mg、ディナゲスト錠0.5mg)も子宮内膜組織の増殖を抑える作用があり、子宮内膜症による月経困難症に対し有用です。
特に「ディナゲスト錠1mg」は子宮内膜症の治療薬としてとても有効ですが、更年期症状のような副作用をきたす事があるため、思春期女性に対しては「ディナゲスト錠0.5mg」を用いることが多く、LEP製剤が使用しづらい15歳未満の月経困難症に対しては、第1選択薬と考えます。

 

ホルモン製剤服用のポイント

子宮内膜症に対して長期的にLEP製剤、黄体ホルモン製剤を服用することは、重症化を防ぐことが期待できるため非常に有用です。
ただし、短期間の使用で症状が軽快したからといって、ホルモン製剤の服用をやめてしまうと、子宮内膜症が再燃し、重症化してしまう恐れがあります。
これらのホルモン製剤は、できるだけ妊娠をご希望されるまで服薬を続け、自己判断で服薬を中止しないよう、お願いします。

 

女性の一生を左右する子宮内膜症との戦いは、初経を迎えた思春期から始まります。
しかし、10代女性は婦人科を受診しづらいかもしれません。
原則として、思春期女性に内診や経腟超音波検査をすることはありません。
月経痛でお悩みの方は是非気軽なお気持ちで、婦人科クリニックを訪れてみて下さい。

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