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院長コラム

当院におけるヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)感染妊婦さんへの対応 ~完全人工栄養の推奨~

成人T 細胞白血病(ATL)の原因はHTLV-1であり、主な感染経路は母子感染、特に母乳を介した感染が知られています。
今回は、当院におけるHTLV-1感染妊婦さんへの母乳管理に対する考えをお示しします。

 

 

ATLとHTLV-1感染

HTLV-1に感染すると、生涯でATLを発生する確率は3~7%であり、40歳以上のキャリア約750~2,000人の中から1年に1人発生すると考えられています。発症率は比較的低いですが、有効な治療法は開発されていません。
また、HTLV-1は、脊髄麻痺を起こすHTLV-1関連脊髄症など、他の疾患の原因ウイルスでもあります。したがって、可能な限りHTLV-1感染予防することが求められています。

 

 

妊娠中のHTLV-1検査の流れ

すでにHTLV-1感染と診断されている方を除き、当院では妊娠24週前後の後期血液検査の際に、一次検査としてHTLV-1抗体検査を行っております。
スクリーニング検査で陰性であれば「非感染」であるため終了となりますが、陽性となった場合は確認検査を行います。そこで陽性であれば「HTLV-1キャリア」、陰性であれば「陰性」と確定します。一部、判定保留となるケースがあり、その場合にはさらに詳しい検査(PCR法)が行われ、最終的に陽性・陰性を確定します。

当院では一次検査まで施行し、陽性になった方は高次施設の血液内科へ紹介致します。

 

 

HTLV-1キャリアの母乳管理について

HTLV-1は主に母乳を介して赤ちゃんに感染します。以前は、①人工栄養、②凍結母乳栄養、③生後90日までの母乳栄養、という3つの選択枝をお示しして、相談して方針を決定していました。
しかし、凍結母乳や短期母乳は、母子感染予防効果の科学的な根拠が不十分であるため、これらは積極的に行わず、完全人工栄養を推奨するように、と「産婦人科診療ガイドライン産科編2020」(日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会編)には記載されています。

これを踏まえ、当院ではHTLV-1キャリアの妊婦さんに対し、母乳による母児感染リスクを説明した上で、完全人工栄養を強くお勧めすることにしています。尚、母乳を止めるため、「カバサール0.25mg」4錠(1mg)を分娩後4時間以降、2日以内に内服して頂きます。

 

 

全国的に、ほとんどのHTLV-1キャリアの妊婦さんは完全人工栄養になると思われます。
ただし、それでも100%母子感染を防ぐことはできません。
念のため、お子さんのHTLV-1検査について、お母さまの主治医である血液内科の先生にご相談下さい。

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