院長コラム
妊娠初期流産手術について
妊娠12週までの流産率は10~15%程度といわれており、流産が進行している場合を除いて、流産手術が必要になるケースがほとんどです。
今回は、当院での妊娠初期の流産手術について説明します。
流産手術当日
来院前
お食事は前日の夜までにして頂き、当日朝からは召し上がらないで頂きます。ただし、水・お茶・スポーツドリンクはご来院時までお飲み頂いて結構です。
来院後
9時頃ご来院頂きます。より安全に手術を行なうため、子宮頚管を拡張する処置として、特殊なスポンジ(ラミセル3mm)を頚管に挿入します。その後は病室でお過ごし頂きます。
手術
手術30分前に筋肉注射を打ち、手術室に入り準備します。
点滴を留置し、鎮痛剤・麻酔薬を投与し、眠った状態になりましたら手術を開始します。
朝挿入したラミセルを抜去し、ヘガールという器具を用いて、更に子宮頚管を拡張します。その後、吸引管を挿入し子宮内容を除去します。
通常5~10分程度で手術は終了します。
尚、胞状奇胎といった妊娠組織の病気の有無を調べるため、子宮内容を病理検査に提出します。
術後
術後は30分ほどで麻酔が醒めてきます。その後再び病室にお戻り頂き、2~3時間お休み頂きます。内診および超音波検査による診察で問題なければ同日ご退院できます。
退院後
退院日の夜から抗生剤と子宮収縮剤を4日間服用して頂きます。1週間は少量の出血が持続することが多いですが、熱発や下腹部痛が増強することはほとんどありません。
術後1週間後の診察
内診および超音波検査で子宮内感染の有無・子宮内の妊娠組織遺残や血液貯留の程度を確認します。ほとんどは1週間で子宮内貯留は減少しますが、必要に応じて子宮収縮剤を追加処方します。
術後6週間後の診察
月経再開の状況、過多月経や仮性動脈瘤破裂などによる大出血の有無を確認します。
また、元々月経が28日周期で順調の方であれば、術後5-6週間で月経が再開することが多いですが、無月経の場合には基礎体温をつけて頂き、数ヶ月にわたり排卵の有無を確認します。
次回の妊娠については、お一人おひとりの状況に合わせて考えていきますが、多くの場合、妊娠組織の病理検査で問題なく、術後経過が順調であれば、1回月経を経験するだけで、その後の排卵から妊娠を許可しております。