院長コラム
女性のヘルスケアと園芸療法
皆さんは“園芸療法”という言葉をご存じでしょうか?
私は、日本女性医学学会学術集会でNPO法人日本園芸療法研修会の先生のご講演を拝聴するまで、恥ずかしながら知りませんでした。
今回は、女性のヘルスケアを支える園芸療法について、情報共有したいと思います。
園芸療法とは?
園芸療法とは「植物や植物のある環境,植物を育てる園芸作業をリハビリテーションや心身機能の改善などに活用する方法」とのことです。
1970年代に欧米で始まり、1990年代には日本でも“植物による癒し”として広まったそうです。
家庭菜園やガーデニング、農作業など、植物に接する趣味を持つ方も多いと思いますが、知らず知らずのうちに、心身の機能が改善されているのかも知れません。
園芸療法が女性のヘルスケアにもたらす効果
ご講演を伺いながら、女性のヘルスケアに特に重要と思われる園芸療法の効果について、個人的な意見を述べてみたいと思います。
(1)リラックス効果
自然の一部である植物に触れる事で五感が刺激され、ストレスホルモンの低下や副交感神経の活性化が期待できます。その結果、日々の仕事、家事、育児、学業、人間関係などによるストレスが軽減し、気持ちがリラックスされるのではないでしょうか。
月経前症候群(PMS)や更年期障害でイライラ感や不安感を強く感じる方に有用かも知れません。
(2)自己肯定感・自己効力感のアップ
ご自身がコツコツと植物をお世話することで、花が咲いたり、実が大きく育つことを経験すると、達成感や自信が芽生えると思われます。
自分に自信が持てない女性や、女性ホルモンの急激な低下により抑うつが強くなる時期(産後・月経前・更年期など)の女性にとって、“植物を育てる”行為は、自己肯定感・自己効力感のアップに繋がるかも知れません。
(3)身体活動量とビタミンD合成のアップ
屋外で、ある程度の労力を要する園芸作業であれば、全身を適度に、そして習慣的に体を動かし、ある程度まとまった時間、紫外線を浴びる事になります。
その結果、身体活動量や皮膚でのビタミンD合成が増加し、動脈硬化や骨粗しょう症の予防に繋がるかも知れません。
女性の心身トラブルに対する治療として、ホルモン剤・漢方薬・向精神薬などを用いた薬物療法は非常に重要です。
しかし、薬物療法の効果をより向上させるためには、日常生活の健康的な過ごし方も大切です。
これまで植物に触れる機会の少なかった方は、好きなお花をお部屋に飾る事から始められたらいかがでしょうか?