院長コラム
中高年女性の不正出血に対する診察の流れ
閉経が近づくと月経が不順になり、不正出血との区別が難しくなることも少なくありません。
その多くは、女性ホルモンの影響による出血ですが、子宮体がんなどの悪性疾患を鑑別することは非常に大切です。
今回、閉経前後の中高年女性が性器出血で受診された場合の、当院における診察の流れについて説明します。
不正出血の状況確認
問診として、不正出血の量や色、月経の有無、月経周期、不正出血が認められた月経周期の時期、性交時出血の有無、低用量ピルや黄体ホルモン製剤といったホルモン剤使用の有無などを確認します。
また、妊娠の可能性が否定できない場合は、妊娠反応検査を行い、妊娠しているかどうかを調べます。
出血の場所の確認
問診後、内診台に移動して頂き、まず外陰部・腟入口部の出血の有無について確認します。例えば、外陰炎、外陰部の血管腫、尿道カルンクル(良性のイボ)などは、下着やパットなどの刺激により出血をきたすことがあります。
続いて、腟鏡を挿入し、帯下の状態や、腟炎・子宮腟部びらん・子宮頚管ポリープの有無などを観察し、血性帯下を認めた場合は子宮内から出血しているのか、腟内に出血源があるのかを確認します。
超音波検査で子宮内をチェック
出血源が子宮内にあると思われた場合、経腟超音波検査で粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜肥厚、血液などの子宮内貯留などを確認します。
もし、妊娠している場合には、子宮内に胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)がみられるかどうかを調べ、確認できなければ流産なのか、異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性があるのかを検討します。
感染症検査・がん検査
腟炎・頸管炎が疑わしい場合は、腟培養検査・子宮頚管クラミジアPCR(場合によって淋菌)などの検査を行います。
更に、子宮頚がんや子宮体がんを調べるために、子宮頚部細胞診、子宮内膜細胞診、子宮内膜組織診などを行うことがあります。
各種血液検査
月経や不正出血の状況によっては、貧血・血小板数、女性ホルモン・甲状腺ホルモン関連、凝固系などの血液検査を行います。
ちなみに、当院では貧血・血小板数の血液検査結果は数分で確認できますが、その他の検査は検査会社に外注しているため、結果確認は後日になります。
出血が多量である場合や、子宮頚がん・子宮体がんが疑わしい場合は速やかに高次施設へ紹介します。
子宮筋腫や女性ホルモンの影響による出血の場合、止血剤に加えて、女性ホルモン製剤(低用量ピル、黄体ホルモン製剤など)や人工的に閉経状態にする薬剤(レルミナ錠など)を用いることがあります。
中高年女性、特に閉経後女性の方は、少量でも性器出血がみられた場合には、早めに婦人科を受診されることをお勧めします。