院長コラム
都立青山高等学校での生涯健康授業(パート1)~将来の妊娠に向けて~
体重コントロールの重要性
体格の指標であるBMI(Body Mass Index:体重㎏÷身長m÷身長m)が、18.5未満を低体重(やせ)、18.5以上、25.0未満を普通、25.0以上を肥満と判定します。
妊娠前に低体重の女性が妊娠すると、早産、胎児発育不全、低出生体重児(2,500g未満)の増加などのリスクが高まります。更に、低出生体重児として生まれた赤ちゃんは、将来糖尿病や高血圧、心臓病など生活習慣病の発症リスクが増加すると言われています。
一方、妊娠前に肥満である女性が妊娠すると、妊娠高血圧腎症、妊娠糖尿病、巨大児、難産、死産などのリスクが高まります。更に、肥満女性から生まれた赤ちゃんは、将来糖尿病、心臓病、脳梗塞などの発症リスクが増加すると言われています。
妊娠前の“やせ”も“肥満”も、妊婦さんだけでなく、子供にとっても長期間にわたり悪影響を及ぼすため、思春期からバランスの取れた食生活、適切な運動習慣を身に付ける事が大切です。特に、将来妊娠を希望する女性は、BMIが18.5以上、25.0未満になるよう、体重を適正にコントロールしましょう。
喫煙・飲酒が妊娠に与える影響
妊娠前の喫煙は、男女ともに不妊の原因になり、妊娠中の喫煙は、直接喫煙、受動喫煙問わず、流早産、胎児発育不全、奇形、死産、乳児死亡などが増加すると言われています。また、生まれた子供の受動喫煙の影響として、乳幼児突然死症候群、発達障害、将来の肥満・高血圧・糖尿病等の増加が言われています。以上より、妊娠を考え始めた時点で、タバコを吸っている人は男女問わず禁煙することが大切です。
一方、飲酒については、妊娠初期では小頭症など様々な奇形をきたす可能性、妊娠中後期以降では、中枢神経障害や子宮内胎児発育遅延・成長障害などをきたす可能性が指摘されています。
妊娠中に安全とされるアルコール摂取量は不明であるため、妊娠中は全期間通じて飲酒は避けましょう。
妊活にお勧めの年齢は?
卵子の数は、妊娠20週頃の胎児には約700万個ありますが、次第に減少し、生まれる頃には200万個、思春期には20∼30万個、30代には2~3万個程度になると言われています。
また、妊娠率は、20代では横ばいですが、30歳頃から減少し始め、35歳以降さらに減っていきます。一方、流産率は、30代前半まではあまり変わりませんが、35歳以上で増加し始め、40歳以上で急増します。
さらに、妊娠高血圧症候群という重篤な妊娠合併症のリスクは、35歳頃から増え始め、40歳頃から急増すると言われています。
以上より、20代での妊娠・出産が母児の健康の面では望ましく、35歳頃までであれば、比較的リスクが少ないと考えられています。
将来のキャリアを思い描くのと同様に、思春期から男女ともに妊活の時期についても考える事をお勧めします。
授業後、女子生徒の皆さんから「月経困難症やPMSを我慢しなくていいことがわかった。婦人科を受診しようと思う。」などの感想を頂きました。
男子生徒の皆さんからは「女性が辛い思いをしていることが分かった。思いやりをもって接したい。」などの声を頂きました。
次回パート2の授業でも、生徒の皆さんのお役に立つようなお話ができれば、と考えております。