院長コラム
肥満と婦人科がんとの関係
体格の指標であるBMI(body mass index:体重㎏÷身長m÷身長m)が25.0以上を肥満といい、様々な疾患との関係が指摘されています。
厚生労働省の令和5年の報告では、女性の場合20~30代で10%程度の肥満の割合が、50代以降では約25%となっており、特に閉経以降の肥満の増加に注意が必要です。
今回は、「産婦人科の実際 2026年3月号」(金原出版)を参考に、肥満が婦人科がん、特に子宮体がんや卵巣がんに及ぼす影響について、情報共有したいと思います。
肥満と子宮体がん
ある調査によると、BMIが5㎏/m2増加するごとに子宮体がんの発症リスクが約1.6倍上昇しますが、減量手術による体重減少が子宮体がん発症リスクを約60%低下させた、とのことです。
また、子宮内膜異形増殖症などの前がん病変も肥満により高頻度で増加しますが、体重減少により前がん病変に対するホルモン療法の奏効率が改善するそうです。
閉経後女性では卵巣機能の低下のため、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンの量は減少します。そのかわり、脂肪組織でエストロゲンが産生されるため、肥満女性では常に高濃度のエストロゲン状態となります。
エストロゲンには子宮内膜組織を増殖させる作用があるため、もし高濃度のエストロゲンが持続的に子宮内膜組織を刺激し続けると、前がん病変、そして子宮体がんの発生に繋がっていきます。
肥満と卵巣がん
卵巣がんには様々な種類があり、いくつかのタイプの卵巣がんの発症リスクは、肥満によって増加すると言われています。
過剰なエストロゲンが腫瘍形成の促進に繋がるだけでなく、抗がん剤の効果を弱める可能もあるそうです。
また、大量にある脂肪細胞から放出された脂肪酸が腫瘍細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されることで腫瘍が増殖してしまうとのことです。
肥満は婦人科がんの発症リスクを高め、抗がん剤治療の効果を弱めてしまう可能性があります。
日頃より、バランスのとれた食事・適切な運動・良質な睡眠といった生活習慣に心掛けて、肥満を予防し、あるいは改善することが重要です。
特に、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病を合併されている方は、内科専門医と相談し、肥満症に対する薬物療法などをご検討下さい。