院長コラム
月経量が多いかな?と思ったら、婦人科疾患と貧血の確認を
月経1回の総経血量は20~140mlが正常と言われており、毎回140mlを超えているようであれば過多月経と言えます。
過多月経を放置していると鉄欠乏性貧血となり、心身共に大きなダメージを与える事になります。
今回は、過多月経と貧血に対する治療について、情報共有したいと思います。
過多月経が疑われるケース
①経血にレバー状の血液の塊(特に親指大以上)が混ざっている。
②昼でも夜用ナプキンを使う日がある(特に3日以上)。
③普通のナプキンを頻繁に交換する(1~2時間ごと)。
④日中に7セット以上生理用品を使用する。
⑤月経期間が8日間を超える。
以上の項目が1つでも当てはまれば過多月経が疑われます。
特に、動悸・息切れ・ふらつき・倦怠感・めまいなどの症状がみられた場合は、すでに鉄欠乏性貧血になっている可能性があります。
できるだけ早めに、産婦人科クリニックを受診するようにしましょう。
過多月経の原因・治療
子宮内膜組織が剥がれて、血液とともに流出する現象を月経と言います。そのため、子宮内膜組織を増やすような病気が隠れていると、過多月経のリスクが高まります。
過多月経の原因として多いのは子宮筋腫です。特に粘膜下筋腫の場合、子宮内膜を筋腫が圧迫し、子宮内膜組織が増えることで経血量が増加します。このような場合、一時的にわざと閉経状態にして筋腫を縮小させ、月経も止めてしまう偽閉経療法を行う事があります。
また、子宮筋の中に子宮内膜組織が混在してしまう病気、子宮腺筋症も、子宮全体が大きくなることで子宮内腔が広がり、過多月経の原因になります。子宮腺筋症の場合、子宮内膜組織の増殖を抑える作用を持つ黄体ホルモン製剤の内服や、黄体ホルモン放出子宮内システム(IUS)を子宮内に挿入・留置することで内膜を薄くし、経血量を減少させる事もあります。
その他、子宮内膜ポリープも過多月経の原因になり、レーザーや吸引器を用いてポリープ切除することもあります。
鉄欠乏性貧血の場合は鉄剤投与が中心
経血量を減少させると同時に、鉄欠乏性貧血がみられるときには鉄剤を使用します。
当院では、胃痛や嘔気といった副作用が比較的少ないリオナ錠(1回2錠 1日1回)を第一選択としていますが、飲めない方にはインクレミンシロップ(15ml/日)、または静脈注射(モノヴァー静注)を使用することも少なくありません。
また、人参養栄湯、十全大補湯など、貧血に有効な漢方薬を処方することもあります。
上記以外に、経血量を少しでも減らすために、止血剤(アドナ錠・トランサミン錠)や漢方薬(止血効果のある温清飲など)を併用することがあります。
過多月経を自覚した場合は産婦人科を受診し、婦人科疾患や鉄欠乏性貧血になっていないか、まずは確認してもらいましょう。
反対に、健康診断や人間ドックで貧血を指摘されたら、消化管や痔核からの出血を確認するために消化器内科の受診も大切ですが、過多月経の可能性も考えて(自覚がなかったとしても)産婦人科クリニックも受診されることをお勧めします。