院長コラム
月経困難症に関する誤解
ここ数年、月経困難症に対する治療薬が開発され、治療法の選択肢が増えてきています。
一方で、様々な誤解のため、治療薬服用を躊躇される方も少なくありません。
今回は、当院でも質問を受ける事があります“三つの誤解”について説明します。
誤解1.我慢すればするほど、月経痛に強くなる
月経痛は学業・仕事・家事・育児・趣味といった日常生活の質を落としてしまうため、我慢せずに積極的に治療すべきと考えられています。
しかも、「痛みは我慢すればする程、慣れていって痛みに強くなる」といったことはなく、むしろ痛みに敏感となってしまい、「我慢すればするほど、痛みに弱くなる」とも言われています。
さらに、月経痛に対して消炎陣痛剤を服用するのであれば、痛くなってから服薬するのではなく、できれば月経が開始すると思われる前日頃から飲み始められることをお勧めします。
誤解2.低用量ピルは太る
月経困難症に対する治療薬として、低用量ピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬:LEP)が主流になっています。
ただし、“ピルは太る”という誤解(都市伝説?)を信じている方も少なくありません。
「太る=不要な体脂肪が増える」という意味では、LEPを服用しても直接太る事はありません。強いて言えば、LEPにより月経困難症が軽快し、体調がよくなったことで食欲が増し、結果的に体重が増える可能性はあります。
また、薬剤の種類によっては、服用当初に浮腫んでしまう方がいらっしゃいます。ただし、経過とともに改善することも多く、場合によっては浮腫改善効果のある成分が入っている製剤(ドロエチフレックス配合錠、ドロエチ配合錠、アリッサ配合錠)への切り替えを検討することもあります。
誤解3.漢方薬は数か月飲まないと効果を発揮しない
月経困難症の治療として漢方薬は良く用いられます。
むくみや冷えを改善する「当帰芍薬散」、血液の巡りを改善する「桂枝茯苓丸」、子宮筋の緊張を和らげる「芍薬甘草湯」などを当院でも処方することが多いですが、1~2週間で月経困難症の改善傾向がみられる事もあります。
特に芍薬甘草湯は即刻性があるため、むしろ月経開始日前後の数日間のみ服用して頂いています。
「月経痛は病気でなく、我慢するもの」といった誤った考えの方が少なくありません。
月経困難症は日常生活の質を下げるだけでなく、子宮内膜症などの重大な病気が隠れている可能性があります。
月経痛で悩んでいらっしゃる方は、できるだけ早く産婦人科クリニックを受診されることをお勧めします。