院長コラム
月経困難症に対する女性ホルモン療法
月経困難症とは、月経期間にみられる様々な心身のトラブルの事をいい、その代表は下腹部痛・腰痛などの月経痛です。
月経痛には、子宮内膜組織から分泌される物質(プロスタグランジン)による子宮筋の過剰な収縮が原因のタイプと、子宮内膜症・子宮腺筋症といった疾患が原因のタイプの二種類がありますが、どちらも子宮内膜組織の管理が治療のポイントになります。
今回は、子宮内膜組織の増殖を抑制する作用を持つ女性ホルモン製剤について、3タイプを紹介致します。
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP):低用量ピル
LEPには排卵を抑え、子宮内膜を薄くする作用がありあります。その結果、月経量の減少、プロスタグランジン産生の低下がみられ、子宮筋の収縮を弱める事で、月経痛に対する治療効果を発揮します。
当院では、最大120日まで連続服用が可能な「ヤーズフレックス錠」、最大77日まで連続服用が可能な「ジェミーナ錠」、血栓症リスクが比較的低い「アリッサ錠」を中心に使用しています。
黄体ホルモン製剤:内服薬
子宮内膜増殖を抑制する作用を持つ黄体ホルモンのみの製剤は、血栓症リスクがないため、肥満・40歳代・片頭痛持ちの方など、LEPを服用しづらい方にお勧めすることが多い薬剤です。
当院では、月経困難症治療のみ目的の場合には「ジエノゲスト錠0.5㎎」、子宮内膜症の治療目的の場合には「ディナゲスト錠1.0㎎」を使用することが多く、どちらも1日2回の連日服用が必要になります。
黄体ホルモン製剤:子宮内システム
黄体ホルモン製剤の中には、高濃度の黄体ホルモン成分を子宮内膜に対して局所的・持続的に放出する黄体ホルモン放出子宮内システム(IUS)があります。
一度挿入すると、基本的にご自身がしなければならない事はなく、原則として5年間有効であり、全身への副作用はほとんどありません。
ただし、排卵を抑制する作用はないため、排卵痛・月経前症候群に対する効果は期待できませんが、出産経験のある方や過多月経に悩んでいる方には特にお勧めです。
月経困難症は仕事・学業・家事・育児・介護などに影響を及ぼし、生活の質を低下させます。
また、10代から月経困難症がみられると、将来子宮内膜症になるリスクが高まります。
女性ホルモン製剤は、月経困難症に悩んでいる全ての世代の皆さんの味方になりますので、是非婦人科を受診し、ご相談下さい。