院長コラム
月経前症候群(PMS)は「女性ホルモンの波による“船酔い”のようなもの」
女性は、ホルモンの様々な“波”を乗り越えて、日々を過ごしています。それはあたかも、大海原を進んでいる小舟のようです。
先日、私が世話人を務めます学術講演会で、福島県立医科大学産婦人科特任教授の小川真里子先生に、PMSについてご講演頂きました。小川先生は、私が大学病院に在籍していた時、同じ研究室で一緒に働いておりました先生で、現在は女性医学・心身医学の分野における第一人者でいらっしゃいます。
先生はその講演の中で、「月経前症状は、ホルモン変動の波による船酔いのようなもの」とお話されておりました。
今回は、私が講演で学んだ事を共有しつつ、少し私見を交えながらお話致します。
PMS対策の基本は「運動」「睡眠」そして「食事」
月経前の体調不良への対応として、一般的な生活習慣の改善、つまり「適切な運動」「良質な睡眠」そして「バランスのとれた食事」が基本のようです。
特に食事については、「未精製の炭水化物(急激に血糖を上げない食品)」「良質のたんぱく質」をしっかり食べ、砂糖やアルコールを減らすことが重要とのことです。その上で、カルシウム・マグネシウム・ビタミンB・鉄・ω3脂肪酸などの摂取を推奨されていました。
PMSが強い方は“むくみが強く、カルシウム不足”
PMSが強い方は、そうでない方と比べて、月経前のむくみが強く、カルシウムが不足しているとのことです。
女性ホルモンの影響でナトリウムと水分が貯留しやすくなり、それがPMSの症状悪化に影響するようです。海外では、むくみを取る利尿剤がPMS治療に用いられています。
ただし、わが国の場合、利尿剤にはPMSに対する保険適応がありません。そのため、月経困難症とPMSを併発している方には、利尿剤に似ている構造を持つ黄体ホルモンを含むヤーズフレックス錠(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬:LEP)の使用が理にかなっているようです(LEPは月経困難症の保険適応薬)。もちろん、日頃から塩分を控えた食事を心掛ける事も大切でしょう。
また、カルシウムは、現代の日本人女性の摂取量が必要量を下回る栄養素の一つです。カルシウム不足は骨だけでなく、メンタルにも悪影響を及ぼすため、特に精神症状の強いPMSの方には、積極的にカルシウムを摂取する事もお勧めします。
サプリメントを上手に使う
とはいえ、忙しい毎日を送っている女性が、理想的な食生活を続ける事は困難と思われます。そこで、サプリメントの登場です。
PMSの症状改善を目的に作られた「トコエル」は、ビタミンEの成分である「γ(ガンマ)-トコ」、カルシウム、そしてエクオール(大豆イソフラボン)が含まれているサプリメントです。
「γ-トコ」には、体内の余分なナトリウムを排泄し、むくみを取る効果があります。
そして、食事だけでは不足しがちなカルシウムを補充します。
更に、女性ホルモン(エストロゲン)の調節作用を持つエクオールが、エストロゲン変動の“大波”を“小波”に安定化させることで、“船酔い”を軽減させるといわれています。
このような作用をもつ「トコエル」を月経開始前の1週間程服用することで、PMS症状の軽快が期待できます。
当院ではPMSの治療として、月経困難症がある方にはLEP、多彩な精神症状がみられる方には漢方薬、抑うつ症状が強い方にはセロトニン(幸せホルモン)を増やす抗うつ薬(SSRI)などを中心に使用し、場合によってはこれらを併用しながら対応しています。
それらに加え、薬物療法を始めるまでの間、あるいは薬物療法に抵抗がある方や副作用が強い方などには「トコエル」も積極的に使用するようにしています(当院受付でも販売)。
ただし、「生活習慣の見直し」がPMS改善にとっても大切であることを“大海原を航海中”の女性の皆さんには、是非知って頂ければと思います。