院長コラム
更年期障害以外との鑑別が必要な症状
閉経の前後5年間、合計10年間にみられる多彩な肉体的・精神的症状は、更年期障害である可能性があります。
のぼせ・発汗・動悸などの「血管運動神経症状」、不安感・抑うつ・イライラなどの「精神神経症状」、肩こり、腰痛、手指のこわばりなどの「運動器症状」が一般的な更年期障害ですが、他の疾患が隠れているかも知れません。
今回は、更年期障害との鑑別が必要な症状について情報共有致します。
甲状腺機能異常の可能性がある症状
甲状腺機能の異常は月経不順をきたすことがあり、卵巣機能低下と間違われることがあります。
特に、ほてり、発汗、動悸などは甲状腺機能亢進症でもみられる症状ですので、安易に更年期障害と決めつけない方がいいかも知れません。
また、冷え、疲労感などは甲状腺機能低下症にもみられる症状です。
これらの症状がみられた場合は、内科、特に甲状腺を専門としている内分泌内科のクリニックを受診されてみてもいいでしょう。
整形外科的疾患の可能性がある症状
肩こり・腰背部痛・手指のこわばりなどは、更年期障害の中でも多い症状と言われています。
ただし、椎間板ヘルニアや関節リウマチなどの整形外科的疾患が隠れている可能性も少なくありません。
特に、のぼせ・発汗といった血管運動神経症状があまり見られず、肩こり・腰背部痛・手指のこわばりなどの運動器症状が主体である場合は、婦人科診察前に(あるいは並行して)整形外科クリニックを受診されることをお勧めします。
精神科的疾患の可能性がある場合
更年期障害でもよく見られる抑うつ・不安感・イライラ・不眠なども、精神科的疾患が主体であることも少なくありません。
特に、気分の落ち込みが強い場合は、他に血管運動神経症状がみられたとしても、早めにメンタルクリニックを受診しましょう。
必要に応じて向精神薬を処方して頂きながら、婦人科的治療(ホルモン療法・漢方療法など)を組みあわせる事が望ましいと思われます。
当院では、月経不順や3か月以上無月経の40~50代の方で、更年期障害を主訴にご来院された方には、原則として卵巣・甲状腺関連のホルモン検査を行っています。
また、血中エストロゲン濃度が低値の方には骨密度検査を行い、骨量減少や骨粗しょう症の鑑別をしております。
状況により婦人科的治療を行いつつ、症状に適した診療科へ紹介させて頂く事がある旨、ご了承下さい。