院長コラム

抗体価が低い妊婦さんは、直ちに風疹からの緊急避難行動を!

風疹の流行に伴い、日本産婦人科医会から「妊婦さんへ 風疹からの緊急避難行動のお願い 緊急第3報」が先日発表されました。
アメリカでは10月22日、風疹の予防接種や過去の感染がない妊婦さんは、日本への渡航を控えるよう警告が出されました。
今回は、風疹流行中の注意すべきポイントについて共有したいと思います。

 

 

妊娠が判明した方へ

* 直ちに夫や同居家族(定期接種対象の子ども以外)の風疹接種歴、既往歴を確認して下さい。
* 記録が確認できない御家族の方は、風疹抗体価測定(血液検査)を内科または小児科で行って下さい。世田谷区補助の対象者は当院でも検査できます。
* 風疹抗体価は16倍以下であった御家族の方は、内科または小児科で麻疹風疹(MR)ワクチンを接種して下さい。
* ただし、妊婦さんはMRワクチンを接種することはできません。
* 感染はくしゃみ、咳、唾液のしぶきなどの飛沫あるいは接触により感染します。したがって、少しでも感染を防ぐため、人混みは避け、マスクを着用し、手洗い・うがいを励行しましょう。

 

 

風疹抗体価が16倍以下の妊婦(リスク妊婦)さんへ

* 妊婦さんから職場の健康管理者に妊娠初期であることを伝え、職域での風疹患者発生の把握に努めてもらうと同時に、職域での風疹発生時には、直ちに妊婦さんまで連絡をもらうようにお願いして下さい。
* 職域で風疹患者さんが出た場合は、患者さんおよびリスク妊婦さんの「出社の差し控え(公休扱い)」など、妊婦への万全の保護対策をとってもらえるよう、職場の健康管理者へお願いして下さい。

 

 

事業主あるいは職域等の健康管理担当の方へ

* 職域の女性、特に妊婦に対しては厳重な保護対策をとって下さい。
* 職域での風疹患者発生時は、情報を共有し、警告を発信し、患者および妊婦の出勤を禁止して下さい。
* 発熱、首の後ろのリンパ節の腫脹、全身の発疹などの症状が見られる職員には、必ず医療施設を受診させて、診断してもらって下さい。
*これらは、わが国としての方針です。

 

 

妊婦さん以外の人、特に30歳代から50歳代の男性で、風疹の罹患歴がなく、2回の予防接種記録がない全ての方へ

* MRワクチンを受けて下さい。
* マスクを着用し、手洗い・うがいを励行しましょう。

 

 

妊娠20週までの妊婦さんが風疹抗体価が16倍以下であった場合、風疹に感染すると胎児が先天性風疹症候群(難聴、心疾患、白内障などの障害)となる恐れがあります。
わが国はワクチン後進国ではありますが、せめて国民一人ひとりが自分ができること、やるべきことを行って、次世代の子供たちのために、風疹流行という危機を乗り切りましょう。