院長コラム

性交経験者は性器クラミジア感染症に注意

性器クラミジア感染症は、クラミジアという病原体によって引き起こされる性感染症の一つで、世界的に最も多く、わが国でも2019年以降増加傾向にあります。
女性の症状としては、帯下の異常(膿様、淡黄色など)、不正出血、下腹部痛などが挙げられますが、クラミジア子宮頸管炎の約90%の方は自覚症状がありません。
今回は、性器クラミジア感染症の診療の流れについて、「女性外来診療」(診断と治療社)を参考にしながら情報共有致します。

内診・腹部触診・超音波検査
性交の経験がある方(特に10~40代)で帯下異常や下腹部痛、不正出血などがみられた場合、内診や腹部の触診により、子宮・両側卵巣や卵管、下腹部全体、右上腹部に圧痛がみられないか確認します。
更に、経腟超音波検査にて卵管の腫大や腹腔内の液体貯留など、腹腔内病変の有無について確認します。

帯下の検査
膣鏡診にて子宮頚部、膣壁、帯下の状況を観察し、子宮頸管の帯下を通常の培養検査だけでなく、クラミジアの有無の検査(より正確なPCR法または迅速法の抗原検査)を行います。
ちなみに、妊婦さんがクラミジア頸管炎になってしまうと、産道感染により赤ちゃんが肺炎や結膜炎を発症してしまう危険があります。そのため、当院では自覚症状の有無にかかわらず、全妊婦さんに対して妊娠16週頃にクラミジアPCR法を行っています。
尚、淋菌感染症も性器クラミジア感染症と自覚症状が似ており、これら二つの性感染症が併発することも少なくないため、淋菌PCR法を一緒に行う事もあります。

薬物療法
クラミジア検査で陽性となった方には、抗生剤の内服を行います。
当院では、「ジスロマック錠250㎎4錠」を1回のみ服用して頂き、3週間あけて再検します。
多くの場合は治癒しますが、再びクラミジア陽性になった場合は、「クラリス錠200㎎」1回1錠、2回/日、7日間服用して頂きます。
尚、上記2つの抗生剤は妊婦さんにも安全に服用して頂けます。
ちなみに、コンドームを使用しないオーラルセックスの経験者には、咽頭うがい液を用いたクラミジア検査を行う事もあります。

女性の性器クラミジア感染症の好発年齢は20代です。
性器クラミジア感染症を放置すると、不妊症や異所性妊娠(子宮外妊娠)のリスクも高まります。

帯下異常などの自覚症状がある方はもちろん、パートナーが変わった場合や、特定の方以外と性交した場合は、自覚症状がなかったとしても、一度クラミジア検査をされることをお勧めします。